2010 Fiscal Year Annual Research Report
Notch遺伝子の転写後調節による造血幹細胞の自己複製およびT細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
22390196
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
水野 晋一 久留米大学, 医学部, 助教 (40569430)
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Keywords | 発現制御 / 発生・分化 / 免疫学 |
Research Abstract |
Notch1遺伝子は造血幹細胞の自己複製およびT細胞分化に重要な役割を果たしている。マウス造血幹細胞におけるNotch1遺伝子のmRNAおよびタンパクの発現解析から、Notch1遺伝子が造血幹細胞で強い転写後抑制を受けることを見出した。GFP遺伝子下流にUTRを含むNotch1遺伝子の断片をクローニングし各分化段階の血液細胞へ遺伝子導入することにより、この抑制効果が造血幹細胞に特異的であること、責任配列が3'UTR領域内に存在することを明らかにした。さらにNotch1遺伝子3'UTRの各種欠失変異の発現抑制活性の解析から、その責任領域が3'UTRに存在するATTTAモチーフであることを明らかにした。このATTTAモチーフはRNA結合タンパクの認識配列であり、pull-downアッセイから、2種類の責任RNA結合タンパクを同定することに成功した。一方、造血幹細胞の胸腺への直接注入により、この転写後抑制が速やかに解除されることから、胸腺環境において転写後抑制を解除するシグナルが存在することが推測され、抗体スクリーニング法による探索を行っている。また、Notch1遺伝子の転写後抑制の生物学的意味を明らかにするために、RNA結合タンパクを阻害する新たな転写後抑制解除ベクターを構築しており、造血幹細胞におけるNotch1遺伝子の転写後抑制の役割をin vitro、in vivoの双方で解析している。これらの研究によりNotch1制御の機序および生体における役割を明らかにするとともに、T細胞分化の人為的制御法の確立をすすめている。
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