2011 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞を標的とする新たな急性骨髄性白血病治療法の開発
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22390197
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
北林 一生 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (20261175)
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Keywords | 白血病 / 幹細胞 / NPM |
Research Abstract |
急性骨髄性白血病(AMDでは、高頻度に核小体タンパク質Nucleophosmin(NPM)遺伝子に変異が見られる。その結果生じるNPM変異体は細胞質に局在するが、その機能は不明である。本研究は、NPM変異体がAMと発症に寄与するメカニズムの解明を目指している。NPM変異体をマウス骨髄から採取した造血系前駆細胞に発現させると、細胞のコロニー形成能が長期間維持され、Hoxa遺伝子の発現量が増加することを明らかにした。このアッセイ系を用いることにより、NPM変異体の様々な機能解析を行うことが可能となった。NPM変異体は核小体ではなく細胞質に局在するという特徴を持ち、また、オリゴメリゼーションドメインを介して野生型NPMも細胞質へと移行させる。NPM変異体から核外移行シグナルもしくはオリゴメリゼーションドメインを欠損させると、造血系前駆細胞に対するトランスフォーム能が失われることから、NPM変異体は野生型NPMを細胞質へ連れ出すことにより機能している可能性が示唆された。さらに、NPM複合体を精製することにより、YB-1というタンパク質がNPMに結合することを見いだした。そして、YB-1ノックアウトマウス由来の細胞では、NPM変異体のトランスフォーム能が著しく阻害されることを示した。すなわち、YB-1はNPM変異体のトランスフォーム能に必須な因子であることが明らかになった。YB-1複合体の精製を行ったところ、.mRNAの制御に関与するタンパク質が多く取れてきたため、YB-1はmRNAレベルでトランスフォーム能を制御している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、NPM変異体の機能は不明であったが、その機能にYB-1が関与することを初めて明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
NPM変異体による白血病発症を誘導できる実験システムを確立するため、NPM変異体に加えていくつかの変異遺伝子をマウス骨髄細胞に導入し、テストする。このシステムを用いて、YB-1の役割を調べる。
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