2010 Fiscal Year Annual Research Report
FcεRIβ鎖によるマスト細胞活性化機構の解明とその制御
Project/Area Number |
22390202
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
羅 智靖 日本大学, 医学部, 教授 (60230851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡山 吉道 日本大学, 医学部, 准教授 (80292605)
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Keywords | アレルギー / IgE / マスト細胞 / FcεRI / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本年度は,接触性皮膚炎マウスモデルにおいて,β鎖ITAMによるFcεRIを介したマスト細胞活性化シグナルの増強が,皮膚炎の発症に重要であることを明らかにした。さらにβ鎖ITAMは,FcεRIとアデノシン受容体を介した共刺激によって誘導される相乗的なPI3Kの活性化と脱顆粒反応を正に制御する分子であることを証明した。また,これまでにROS感受性のミトコンドリアのCa2+動態がマスト細胞の脱顆粒、LTC4およびサイトカイン産生の制御に重要な役割を果たすことを明らかにしてきたが,ミトコンドリアCa2+動態におけるβ鎖ITAMの役割について解析を行なった。その結果、β鎖ITAMが、FcεRI刺激による、ミトコンドリアへのCa2+取り込みに必要であること、およびこのCa2+取り込みは、ROS感受性チャネルを介する新規な経路によることが明らかとなった。さらに,ヒト末梢血由来培養マスト細胞の活性化制御におけるβ鎖の役割を検討する目的にて,レンチウイルスベクターを用いたshRNA法により,β鎖の発現抑制を行なった。β鎖の発現が抑制されたマスト細胞ではFcεRIの架橋による脱顆粒、PGD2産生、サイトカイン産生は統計学的有意に抑制された。FcεRI架橋後にβ鎖はLynなどのSrc kinaseによってITAMのチロシン残基がリン酸化され、同時にチロシンリン酸化されたβ鎖ITAMにLynがさらに会合し、Lynが細胞膜へ移行するが、β鎖の発現が抑制されたマスト細胞ではLynの細胞膜への移行が阻止されていることが明らかとなった。
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Research Products
(16 results)