2010 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達解析およびプロテオーム解析によるネフローゼ症候群発症機序の解明
Project/Area Number |
22390204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 成介 北里大学, 薬学部, 教授 (50143508)
張田 豊 横浜市立大学, 医学系, 特任助教 (10451866)
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Keywords | 腎臓 / 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / Nephrin / TRPC6 / PLC-γ1 |
Research Abstract |
腎糸球体の上皮細胞接着装置であるスリット膜は尿を産生する際の蛋白の濾過バリアーとして働いていることが知られている。小児ネフローゼ症候群に対しての初期治療の確立を目指すにあたり、ネフローゼ症候群発症機序についての分子レベルでの解析を行った。これまでにカルシウムチャネルであるTRPC6(transient receptor potential channel 6)の遺伝子変異により常染色体優性の巣状糸球体硬化症が発症することが知られている。また後天性のネフローゼ症候群においてもその発現が亢進していることが報告されている。TRPC6は糸球体では上皮細胞に発現している。私共はTRPC6の活性制御機構として、TRPC6の細胞内チロシンリン酸化が重要であること、そのリン酸化を介したTRPC6とPLC-γ1,Nephrinとの結合により糸球体上皮細胞膜表面における発現が制御されること、さらに疾患原因となる変異体がTRCP6のカルシウムチャネルとしての活性を上昇させるメカニズムを明らかにした。本研究においてはさらにNephrinの細胞内領域のペプチドを培養細胞内に導入することによりNephrinの共発現と同様にリン酸化依存的なTRPC6の膜発現増加/チャネル活性の増加を抑制することを明らかにし、研究成果を報告した。この成果は遺伝性および特発性ネフローゼ症候群発症機序の解明および、ペプチド等の小分子によるネフローゼ症候群の治療法の解明の端緒となる可能性を有する。
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Research Products
(15 results)