2011 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達解析およびプロテオーム解析によるネフローゼ症候群発症機序の解明
Project/Area Number |
22390204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
五十嵐 隆 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (70151256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 成介 北里大学, 薬学部, 教授 (50143508)
張田 豊 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10451866)
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Keywords | 腎臓 / 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / Nephrin / TRPC6 / プロテオミクス |
Research Abstract |
腎糸球体上皮細胞の特有の細胞形態と細胞を繋ぐ接着装置であるスリット膜は糸球体濾過バリアーとして必須である。小児ネフローゼ症候群の治療法確立を目指すため、糸球体上皮細胞の構造と機能の視点からネフローゼ症候群発症機序についての分子レベルでの解析を行った。 1<結果> 1)糸球体膜表面蛋白の網羅的解析:質量分析法にて糸球体膜に存在する蛋白を網羅的に解析し、膜表面蛋白が極めて短時間で常に置換されているデータを得た。スリット膜をはじめとする糸球体膜蛋白質群のターンオーバーの障害が糸球体性蛋白尿の発症に関与する可能性を検討するため、現在このターンオーバーを司るメカニズムを解析中である。 2)スリット膜複合体のダイナミクスの解明:私共はこれまでにNephtinやNeph1、さらにTRPC6などが形作るスリット膜複合体が細胞内のチロシンリン酸化を介し、巨大なシグナル複合体として機能することを明らかにした。さらに膜蛋白質SIRPαが新規スリット膜分子であることを見いだした。本年度は腎疾患患者から得られた腎生検組織やネフローゼ発症動物モデルでこれら蛋白の腎組織での発現を解析した。その結果、先天性ネフローゼ症候群においてNephrinやNeph1,SIRPαの発現が著明に減少していた。またSIRPαのリン酸化状態が複数のネフローゼ動物モデルに:おいて変化していたことから、SIRPαの発現や修飾のダイナミックな変化がポドサイトの形態変化を引き起こし、蛋白尿発症を引き起こすことが示唆された。 3)CaイオンチャネルTRPC6のCa濃度の制御機構の解明:ポドサイトに発現するTRPC6の機能を制御するメカニズムとしてNephrinとの結合が必要であること、また家族性巣状糸球体硬化症患者にみられるTRPC6変異で両者の結合が障害されることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題については次年度も引き続き計画通り糸球体上皮細胞の網羅的解析から蛋白尿の発症原因の解明を進める予定である。
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Research Products
(13 results)