2011 Fiscal Year Annual Research Report
心臓流出路を形成する細胞の発生分化と相互作用を制御する分子機構
Project/Area Number |
22390211
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山岸 敬幸 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40255500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 敬子 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (50286522)
土橋 隆俊 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (10286528)
山岸 千尋 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (10296618)
古道 一樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10338105)
牧野 伸司 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (20306707)
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Keywords | 形態形成 / 細胞分化 / 発生医学 / 分子生物学 / モデル動物 / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
先天性心疾患は、出生約1%におこる最も頻度の高い先天異常の一つで、心臓発生の異常に起因する。近年、心臓の各領域の発生には、いくつかの由来の異なる前駆細胞が協調的に働くことが判明してきた。流出路の発生には2種の前駆細胞、二次心臓領域細胞(SHF)と心臓神経堤細胞(CNC)の働きが必須であるが、それらの細胞の相互作用によって正常な流出路が形成される機序はいまだ明確でない。研究代表者らは、SHFに発現し、CNCの遊走に関与すると推測される神経血管誘導因子・Sema3cの発現制御機構を明らかにすることにより、流出路発生におけるSHFとCNCの細胞間相互作用の分子機構を解明することを目的として研究を計画した。Sema3cのenhancerにlacZ遺伝子を連結・導入したtransgenicマウスの解析とChlPおよびluciferase assayを組み合わせ、Sema3Cの上流直接活性化因子としてFoxc1/c2およびSox4を、上流抑制因子としてTbx1を特定した。さらに、Foxc1/c2によるSema3Cの活性化機構とTbx1によるSema3Cの抑制機構に関して、Foxc1/2ノックアウトマウスおよびTbx1発現低下マウスを用いてin vivoで解析した。Foxc1/2はSema3CのSHFにおける正常な発現を活性化する一方、Tbx1の発現低下により、Sema3Cは正常で発現するSHFだけでなく、CNCにも異所性に発現し、その結果CNCの遊走が停止し、心臓流出路へ到達できないことが示唆された。さらに、Sema3C、Fgf8、Bmp4タンパクおよび抗体を胚に添加する実験の結果、Tbx1によるSema3Cの抑制機構は、SHFによる直接的作用と、CNCではFgf8を介する作用であることが推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に沿って研究計画・方法にかかげた平成22年度分については、概ね達成し、平成23年度以降分としてかかげた計画に関連する部分を残すのみである。平成23年度以降分の研究計画の中でTbx1に関連する部分は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成22~23年度に得られた実験結果を発展させ、Sema3Cの上流因子の検索および分子機序解明に焦点して推進する。Tbx1に関連する部分がオーバーラップするため、網羅的解析よりも候補遺伝子に特化した実験に重点を置き、確固たる成果を得る。GATA6と相互作用する因子の同定、小型魚類の心臓流出路形成細胞の解析をすでに開始しており、年度中に実験を終了し論文投稿できるよう推進する。
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Research Products
(16 results)