2011 Fiscal Year Annual Research Report
shRNA導入によるL1,TAG-1蛋白発現制御に基づく胎児性水頭症発症機序解明
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22390214
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊東 恭子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80243301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伏木 信次 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80150572)
矢追 毅 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40311914)
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Keywords | 先天異常学 / 胎児性水頭症 / L1CAM |
Research Abstract |
1. マウス胎仔脳へのGFP-L1-shRNA導入と神経細胞移動解析 1.1. 組織計測学的解析ならびにと大脳皮質層マーカーの転写因子発現解析 胎生13.5日のマウス胎仔終脳・脳室層に、in utero electroporation法を用いて、MGFP-L1-shRNA導入によるL1分子のノックダウンを惹起し、導入3-4日後(胎生16.5-17.5日)にL1-shRNA導入細胞の動態を検討した。L1ノックダウン細胞(L1-KD細胞)では、コントロールプラスミド導入細胞に比し、胎生16.5日において皮質板表層に達した神経細胞数が有意に少なく、胎生17.5日では中間層に有意に多く、放射状神経細胞移動の遅延を示した。移動中において、L1-KD細胞のリーディングプロセスの束形成が不明瞭で、サブプレートではL1-KD細胞が皮質板に侵入する際のリーディングプロセスの角度に大きなばらつきがみられた。このことにより、L1camが大脳皮質神経細胞の放射状移動に関与することを初めて明らかにした。胎生13.5日のマウス胎仔終脳・脳室層に、in utero electroporationを用いてL1-KDを惹起後、胎生16.5日、胎生17.5日において、転写因子蛋白の発現解析を行った。L1KD細胞では、Satb2、Ctip2、Tbr1の発現異常がみられ、L1camが神経細胞の分化方向の制御に関与する可能性が示唆された。 1.2. タイムラプスによる経時的神経細胞移動解析 導入1日後に、組織切片を作製、組織培養を行い、倒立型共焦点レーザ顕微鏡下のタイムラプス観察で、L1-KD細胞の移動速度、突起の形態を24時間~72時間解析した。L1-KD細胞では、コントロールプラスミド導入細胞(スクランブル配列sh-RNA)に比し、中間層での神経細胞移動速度が有意に低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(理由) 1. shRNAによるL1cam、TAG-1のダブルノックダウン法の改良 shRNAの設計、導入条件設定が順調に進まず、L1cam、TAG-1のmiRNAシステムによるダブルノックダウンに実験方法の変更を試みる予定である。そのため、当初の計画であった胎仔脳でのダブルノックダウンによる神経細胞移動解析、並びに導入細胞における遺伝子発現の変動解析(受託)が遅延した。また、off-target 効果を否定するための追加実験として、複数のshRNA、ネガティブコントロールの作製とin vivoの実験が必要とされ当初の計画に遅れを生じた。 2. マウス胎仔第三脳室層へのL1-shRNA、TAG-1-shRNA導入と共培養 胎齢11.5日のマウス胎仔に対し、第三脳室脳室層にin utero electroporationによりプラスミドベクターを導入し、L1、TAG-1のノックダウンを行うことを計画した。しかし、標的とした胎仔脳領域へのプラスミド導入が困難で、in vitroの系で背側視床にプラスミドを導入後、終脳壁と共培養する実験に切り換えることにした。その条件検索のため、タイムラプスを用いた軸索伸長の観察が遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
1. miRNAによるL1cam、TAG-1のダブルノックダウンと形態学的・分子生物学的解析 L1cam、TAG-1のダブルノックダウンを確実に引き起こすために、タンデムにつないだL1cam-TAG-1-miRNAの作製を早急に完成させる。その後、マウス胎仔終脳脳室層に、in utero electroporation法を用いて、L1-TAG-1-miRNAを導入し、ダブルノックダウン神経細胞の移動を組織学的手法、タイムラプスにより解析する。またダブルノックダウン細胞を採取し、神経分化、神経細胞遊走、L1、TAG-1と相互作用する細胞膜上のリガンド、細胞内シグナル伝達に関与する遺伝子群の発現変動を定量的RT-PCRを用いて確認し、神経細胞分化・細胞移動におけるL1、TAG-1の機能を明らかにする。 2. マウス胎仔視床組織へのL1cam-TAG-1-miRNA導入と共培養 胎齢13.5日のマウス胎仔脳から視床を切り出し、組織培養下、L1cam-TAG-1-miRNA導入を行う。胎齢15.5日の胎仔終脳壁組織と共培養を行い、タイムラプスを用いてL1cam、TAG-1ダブルノックダウン細胞の軸索伸長とその方向を24時間~48時間観察し非導入細胞の軸索伸長と比較する。視床皮質路を形成する視床神経細胞の皮質組織への軸索伸長が障害されることが期待される。
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Research Products
(1 results)