2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390220
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
橋本 謙二 千葉大学, 社会精神保健教育研究センター, 教授 (10189483)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 統合失調症 / D型セリン / NMDA受容体 / D型サイクロセリン / セリンラセマーゼ |
Research Abstract |
これまでの多くの研究から、D型アミノ酸の一つであるD型セリンを介するNMDA受容体機能低下が統合失調症の病態に関与していることが示唆されている。脳内のD型セリンはセリンラセマーゼ(SRR)によってL型セリンから合成される事が知られている。今回、SRR遺伝子欠損マウスを用いて統合失調症のモデル動物におけるSRR遺伝子の役割を調べた。統合失調症と類似した症状を引き起こす覚せい剤を投与すると両群では急性の行動量には差が認められなかった。興味深いことに、覚せい剤の繰り返し投与(1日1回5日間)による逆耐性の形成が、野生型とは異なり、SRR遺伝子欠損マウスでは観察されなかった。D型セリンが、SRR遺伝子欠損マウスの逆耐性の形成に影響を与えるかを調べたが、D型セリンを投与しても影響が無かった。インビボ脳内透析法を用いてマウス側坐核における細胞外ドパミン放出の効果を調べたところ、覚せい剤を投与したSRR遺伝子欠損マウスの側坐核におけるドパミン放出は、野生型と比較して有意に低いことが判った。さらに、細胞内のERK蛋白のリン酸化も遺伝子欠損マウスで低下していた。本研究結果より、覚せい剤投与による逆耐性の形成にSRRが関与している可能性が示唆された。また、統合失調症や治療抵抗性うつ病にも臨床効果があることが報告されているD型サイクロセリンを投与すると、脳内でD型セリン濃度が有意に増加し、その作用にはSRRは関与していないことをSRR遺伝子欠損マウスを用いて明らかにした。本結果は、脳に移行したD型サイクロセリンが分解して、D型セリンに変化したと推測しており、D型セリンのprodrugとしての可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)