2011 Fiscal Year Annual Research Report
PETによるDNA合成速度の定量的測定に基づいたがん診断法の開発
Project/Area Number |
22390241
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
豊原 潤 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (50425659)
|
Keywords | 核酸 / がん / 分析科学 / 放射線 / 薬学 |
Research Abstract |
本研究では、新規に開発したPET薬剤^<11>C-4'-thiothymidine(^<11>C-4DST)を用いて、がんのDNA合成速度をインビボで定量測定できる方法を開発し、その臨床応用に達することを第一の目的とする。次に、^<11>C-4DSTを用いたPETによるDNA合成速度の定量的測定に基づいたがん診断法を、脳腫瘍および肺がん患者へ応用し、^<11>C-4DSTの有用性を明らかにする。 本年度は、昨年度実施した^<11>C-4DSTの初期臨床試験(安全性・有効性および被曝線量に関する試験)からがんのDNA合成能を評価できる可能性が示唆されたため、肺がん、脳腫瘍および骨髄腫において有効性について検討を行った。 その結果、^<11>C-4DSTは脳腫瘍において治療効果を鋭敏に反映すること、肺がんでは病理組織学的増殖マーカーとの相関に優れること、骨髄腫ではステージング診断において既存のFDGや^<11>C-メチオニンに比べて優れていることが明らかとなった。また、全身スキャンにおける重複がんの結果から^<11>C-4DSTが良・悪性の鑑別診断に有用であることが示唆されたため、現在、症例を追加して検討中である。動物PET研究から^<11>C-4DSTが腫瘍と炎症の鑑別診断において、すでに多くの臨床使用実績がある、^<11>C-メチオニン、^<11>C-コリン、^<18>F-FDG、^<18>F-FLTなどと比較して、腫瘍への集積性および選択性について最も優れた性質を示すことが明らかとなり臨床試験の結果を指示するものであった。以上の結果は、^<11>C-4DSTが、さらに多くの腫瘍での有効性の検討を期待させる内容であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の最終目的であった脳腫瘍および肺がんでの有用性の検討をすでに終えており、新たに他のがんでの検討に入っている点。臨床試験結果は大いに期待できる内容で有り、より多くのがんや病態への展開応用が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
PETがん診断にこれまで多くの薬剤が研究的に使用されてきたが、それらに比べ^<11>C-4DSTは増殖能を最も良く反映する薬剤と考えるべき証拠が得られてきた。この診断法の普及は、がん医療へ大きな貢献となると期待でき、更なる発展には^<18>F標識類似体への変換が重要となる。
|
Research Products
(17 results)