2011 Fiscal Year Annual Research Report
個人差を克服しうる自家細胞治療における品質予測・適正化システムの開発
Project/Area Number |
22390243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片野 尚子 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50376620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
片野 晴隆 国立感染症研究所, 感染病理部, 室長 (70321867)
松下 まりも 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50401253)
金本 彰 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10386021)
中村 貴史 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (70432911)
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Keywords | トランスレーショナルリサーチ / ウイルスベクター / 遺伝子治療 / 細胞療法 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
本研究では、患者(自己)由来細胞を用いることによって生じやすい調製細胞の品質における個体差を補正し、患者個人のウイルス疾患罹患歴に起因する潜伏ウイルスの再活性化等、試験薬の安全性や投与後動態に影響を与えるリスクを最小化することによって、個体差を克服しうる自家細胞治療における品質予測・適正化システムを開発することを目的とする。今年度は、ウイルス感染履歴が極めて少ないと考えられる研究用騰帯血11例からDNA/RNAを抽出し定量的PCRによる網羅的ウイルス検出を行った。その結果、全例でその存在否定が細胞・組織提供の的確性に挙げられているHBV、HCV、HIV、HTLIV、parvovirusB19、サイトメガロウイルス、EB virusに加え、Adenovirus等のヒトに病原性がある約100種のウイルスは検出されず、晒帯血がウイルス疾患罹患歴に対応した細胞試験薬の安全性リスクの予測と検証を行うための比較対照用試料として適格であることが示された。今後は、細胞加工品に対する本システムの応用についてのPMDAでの事前面談経験を活かし、最適化した条件下で種々の細胞加工品モデルにおけるデータ蓄積を進める。 一方、同じ検体に由来する血漿中の抗アデノウイルス中和抗体価を測定したところ、市販の正常ヒト血清AB型と同程度以上の抗体価が得られるものが11例中数例みられた。このことはヒト膀帯血由来細胞にアデノウイルスベクターを介した遺伝子導入を行う場合に培地に含まれる血漿成分によって遺伝子導入が妨げられる可能性を示唆しており、今後、この結果を踏まえた遺伝子導入工程の改変を行い、複数の調製細胞での品質測定比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「ウイルス疾患罹患歴に対応した細胞試験薬の安全性リスクの予測と検証」「調製細胞の品質予測と検証」はおおむね順調であるが、「調製細胞の活性の予測と検証」が計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行においては細胞調製法の一部改変が必要となったため、その調製細胞を用いた活性測定法の検討に遅れが出ていたことが問題であったが、今後はウイルスモニタリング法の開発で使用した晴帯血由来細胞を調製用細胞にも用いて検体入手に要する時間を短縮することにより研究の推進を図る。 また、本研究課題のさらなる推進のために研究代表者のエフォート(%)を増加させる。
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