2010 Fiscal Year Annual Research Report
外科手術による癒着・線維形成過程の分子機構解析と制御法開発と探索医療への展望
Project/Area Number |
22390250
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
藤元 治朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 憲司 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
飯室 勇二 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30252018)
平野 公通 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90340968)
宇山 直樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (70402873)
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60241171)
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Keywords | 癒着形成 / 肝切後 / NKT細胞 / IFN-γ / PAI-1 / HGF |
Research Abstract |
マウスにおいて、バイポーラ型電気メスを用いた肝切除を行い癒着モデルを作成した。まずCD4+T細胞の関与が既報の論文で証明されており、当モデルにおいても確認した。抗CD4+抗体をマウスに投与したところ、コントロールマウスと比較すると癒着の程度が軽減された。マウス肝にはNKT細胞が多く存在し、それらはCD4+のT細胞マーカーを多く持つ。NKTノックアウトマウスを用いて肝切除を行うとWTマウスに比較して癒着が軽減された。以上より癒着形成にはCD4+のNKT細胞が関与していることが分かった。NKT細胞は活性化するとIFNγを産生する。肝切除後のIFNγについて解析すると、残肝では約3時間後に発現が増加していた。またIFNγ抗体を投与したマウス及びIFNγノックアウトマウスでの癒着の程度はコントロールマウスに比較して軽減された。肝切除後のNKTノックアウトマウスでのIFNγ発現量はWTに比較して減少していた。以上より癒着にはNKT細胞によるIFNγも必要であることが証明された。また線溶系因子であるPAI-1の関与を確認した。PAI-1は肝切除後に肝内での発現が6時間後にピークを迎えた。PAI-1ノックアウトマウスでの癒着も軽減された。IFNγノックアウトマウスにおいて肝切後6時間でのPAI-1の発現量は滅少していた。癒着形成にはPAI-1は重要であることが分かったが、それはIFN-γにより制御されていることが分かった。HGFは抗炎症作用や抗線維化作用があるが、肝切モデルに投与したところ癒着が軽減された。またその機序はIFNγ・PAI-1の発現を抑制していることによることが証明された。
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