2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌における新規遺伝子制御機能microRNA activationの解明と応用
Project/Area Number |
22390258
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永井 英司 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (30264021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
水元 一博 九州大学, 大学病院, 准教授 (90253418)
冨永 洋平 九州大学, 大学院・医学研究院, 特任講師 (90304823)
当間 宏樹 九州大学, 大学病院, 助教 (80437780)
上田 純二 九州大学, 大学病院, 助教 (90529801)
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Keywords | 膵癌 / microRNA |
Research Abstract |
RNA interference (RNAi)やmicroRNA (miRNA)は、現在では分子生物学的研究において必要不可欠な遺伝子制御機構であるが、いずれも抑制的制御システムであった。しかし、miRNAによるRNAactivationどいう全く新しいmiRNAによる遺伝子制御機構が報告され、新規遺伝子制御手法として注目を浴びている。癌におけるこの遺伝子制御機構の報告は皆無であり、本研究ではmiRNAによるRNAactivahonを膵癌において明らかにし、この制御機能に関与するmiRNAが膵癌の転移に重要なEMT関連遺伝子にどのように関わるかを検討した。 (1)膵癌培養細胞株のmicroRNA網羅的発現解析およびEMT関連miRNAの同定:正常膵管上皮としてhuman pancreatic ductal epithelial cell clone6をcontrolとして、複数のヒト膵癌細胞株におけるmiRNAの網羅的発現解析を行い、膵癌において発現が増加するものと、低下するものを同定した。さらに、複数の細胞株を対象として同様の解析を進め、各細胞株で共通して特異的に変化を示すmiRNAを同定した。また、膵癌細胞株においてEMTが誘導され、浸潤が促進される現象を既に確認しており、その後の一連の研究においてEMTを制御するmiRNAを同定して治療抵抗性(miRNA21, miR142-5pなど)や予後(miRNA203, miRNA200cなど)との関連も含めて検討をした。 (2)miRNAでEMT関連分子を制御するmiRNAの絞り込みと同定したmiRNAのprecursor導入による標的分子発現変動の確認:これまでの報告でmiRNAによるRNA activationではmiRNAが標的遺伝子のプロモーター領域の相補的配列部分に結合し、その発現を増強している事が証明されている。online softwareであるRegRNAsoftwareを用いてEMT関連遺伝子のプロモーター領域と相補的配列をもつmiRNAを検索した。候補となるmiRNAを細胞に実際に導入し、そのEMT関連遺伝子の変化を検討した。Nucleofectorを用いて膵癌細胞にpre-miRNAを導入しEMT関連遺伝子mRNAの発現が時間依存性に実際に増強されている事をmRNAおよびタンパクレベルで確認した。
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