2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小血管網を有するヒト型高次肝組織構築過程のライブ観察
Project/Area Number |
22390260
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小池 直人 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (50301081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
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Keywords | 血管 / 肝臓 / 組織再構築 / 再生医学 |
Research Abstract |
クラニアルウインドウ法を用いて血管網を有するヒト型高次肝組織を生体内において再構築し、組織再構築過程における細胞間相互作用や血流因子の解析をライブ観察にて行った。Collagen-Gelに、Kusabira Orangeを導入したヒト血管内皮細胞(KO-HUVEC)・ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hMSC)とEGFPを導入したヒト胎児肝細胞(EGFP-hFLC)を共培養し、このhFLCコラーゲンゲルをクラニアルウインドウ内に移植し、生体蛍光顕微鏡で経時的に観察した。その結果、EGFP-hFLCは急速に増殖し、互いに接着し、7日目までに1個1個の細胞を識別できなくなった。同時にHUVECは血管網をこの中で形成し、ローダミンデキストランをトレーサーとして静注すると、10日目にはHUVECからなる微小血管網に宿主よりの血流が観察できた(機能血管)。移植後30日目にhFLC内の機能血管の定量を行い、前年確立したHUVEC-hMSCのみから形成された機能血管と比較した。その結果、hFLC内の機能血管の方が密度は高かったが、平均血管径は12μm程度で両者に差はなかった。この時点でELISA法にてマウス血液内にヒトアルブミンが確認され、構築されたヒト型肝組織がアルブミン産生能を有していることが確認できた。40日目のhFLCコラーゲンゲル内の機能血管を共焦点顕微鏡で観察したところ、その血管径は3-4μmでマウス類道血管径とほぼ同じで、形態も似ていることが確認された。移植後30日目でコラーゲンゲルを摘出し、whole mount免疫染色を行ったところ、成熟肝組織に認められる接着分子ZO-1、Eカドヘリン、基底膜の構成因子4型コラーゲンやラミニンが確認できた。パラフィン切片の免疫染色ではアルブミン以外に肝組織のマーカーhepatocyte specific antigenが認められ、電顕の観察でもヒト成熟肝組織の構造を有していることが確認できた。今後このモデルは微小血管網を伴った高次機能を発揮可能な移植用組織の開発や、創薬開発のプラットホームにできる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝組織構築における微小血管網の定量化はhFLC,HUVEC,hMSC共培養の系のみでしか行なっていない。それは、hFLC単独培養ではhFLCに含まれる内皮細胞を別標識することが困難だった為である。そのかわり、HUVEC,hMSCの系と比較し、hFLC,HUVEC,hMSCの系の方で血管密度が高くなる結果を得た。このことは、hFLC内には内皮細胞の基となる細胞成分が元々含まれている手がかりとなると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
hFLCは肝細胞のみでなく3肝組織の構築に必要な血管内皮細胞、間葉系細胞が含まれていると推測していたが、上記結果はそれを示唆するものと考えられた。肝組織構築における血管内皮細胞や間葉系細胞の意義を評価するためには、hFLCから適切なマーカーを用いて内皮細胞、間葉系細胞をFACSで分離する必要が有る。しかし、このマーカーの選択と、FACSによる細胞のダメージをどう克服するかが重要な課題となっている。また、現在、コラーゲンゲル内の肝組織の構造は均一ではなく、肝組織とかけ離れた構造を呈する部分も認められる。組織構築を均一なものにする技術も検討する余地がある。
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