2010 Fiscal Year Annual Research Report
スキルス胃癌の病態と治療抵抗性の克服-癌幹細胞を標的として-
Project/Area Number |
22390262
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
平川 弘聖 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (40188652)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八代 正和 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60305638)
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Keywords | 癌幹細胞 / 分子標的治療 / 微小環境 / 抗癌剤 |
Research Abstract |
【研究の目的】スキルス胃癌は、高頻度に腹膜転移をきたすため予後不良であり、その病態解明が重要課題となっている。近年、悪性腫瘍において癌幹細胞が、転移・再発と関連していることで注目されている。そこで本研究では、スキルス胃癌の病態を癌幹細胞の観点から解明することを目的とし、スキルス胃癌の癌幹細胞Side Population (SP)細胞の分離・同定・特性解析を行った。 【材料と方法】癌幹細胞はHoechst33342染色によるフローサイトメトリー(FACS)で同定されるSP細胞分画に多く含まれるとされている。親株スキルス胃癌細胞株OCUM-2Mを用い、SP細胞含有率をFACSにて解析し、OCUM-2MのSP細胞をFACSでソーティングの後、癌幹細胞様SP細胞OCUM-2M/SPを収集した。これら2種類の細胞を用い腹膜成分に対する接着能をadhesion assayにて比較した。また2種類の細胞をマウス腹腔内投与し腹膜転移能を比較した。それぞれの細胞よりRNAを抽出しRT-PCRにて接着分子CD44H、integrinの発現を比較検討した。 【結果】SP細胞分画はOCUM-2M、1.4%、OCUM-2M/SP、6.4%であった。腹膜成分への接着はOCUM-2M/SP(20.0%、26.3%、19.3%)でありOCUM-2M(1.2%、4.0%、11.7%)に比べ有意に接着能が亢進していた(p<0.01)。OCUM-2M/SPはマウス腹膜播種を形成したがOCUM-2Mは腹膜播種を形成しなかった。接着分子CD44H、integrin α3、integrin α5のmRNAはOCUM-2M/SPで高発現していた。 【結論】癌幹細胞様SP細胞はCD44H、integrin α3、integrin α5の発現が亢進しており、SP細胞の腹膜転移への関与が示唆された。
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