2010 Fiscal Year Annual Research Report
新しい質量分析イメージング法を用いた消化器癌リンパ節転移最初期に生じる現象の解明
Project/Area Number |
22390263
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20204878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 裕也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20265838)
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327543)
才川 義朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00225682)
河地 茂行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80234079)
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Keywords | MALDI-IMS / センチネルリンパ節 / 消化器癌 / 乳癌 / メタボローム解析 |
Research Abstract |
癌組織より最初にリンパ流を受けるセンチネルリンパ節における癌転移巣では、転移の最初期に生じる現象が観察されると予想されるが、癌細胞の不均一性の為に組織全体で同じ変異が生じ、これが継続することはない。この組織中で不均一に生じる変異を、MALDI-IMSを利用して同定すると同時に可視化することで、変異の局在を二次元情報として把握することが可能である。我々はこの手法を用いて、臨床的に応用可能な、リンパ節転移の指標となる現象を検索することを目的として研究を進めている。本年度は日本に3台しか存在しない、5μmの解像度を持つMALDI-IMSでのセンチネルリンパ節の解析を行う前段階として、検体処理からMALDI-IMSによる顕微質量分析データの採取、さらにデータ解析の一連の流れをシステム化することを行った。さらに、この系に臨床サンプルを適応させ、実際にデータの採取から解析を行い、これら結果を用いて2次元平面上で質量分析の画像を作成した。この際、MALDI-IMSで質量分析を行うために、切除による代謝産物の経時的変化を防ぐため、速やかに凍結する必要がある。この凍結に用いる包理剤の検証を行い、解析結果に影響を与えない最適なものを同定した。さらに、これを用いて5-10μmの凍結切片を特殊な導電性スライドグラスを使用して作成すると同時に、クライオスタットの条件や、フィルム法などの様々な試行錯誤を繰り返しプロトコールを作成した。現在、肝細胞癌、大腸癌肝転移、胆管細胞癌、さらに乳癌センチネルリンパ節のスライド作成を行い、これらの解析・画像取得作業をおこなうことが可能であった。今後は消化器癌センチネルリンパ節を用いて、転移の有無による代謝活動の変異を検出していくことを目的とし、研究を進めていく予定である。
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