2011 Fiscal Year Annual Research Report
新しい質量分析イメージング法を用いた消化器癌リンパ節転移最初期に生じる現象の解明
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22390263
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20204878)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 裕也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20265838)
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327543)
才川 義朗 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00225682)
河地 茂行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80234079)
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Keywords | MALDI-IMS / センチネルリンパ節 / 消化器癌 / 乳癌 / メタボローム解析 |
Research Abstract |
癌組織より最初にリンパ流を受けるセンチネルリンパ節における癌転移巣では、転移の最初期に生じる現象が観察されると予想されるが、癌細胞の不均一性の為に組織全体で同じ変異が生じ、これが継続することはない。この組織中で不均一に生じる変異を、MALDI-IMSを利用して同定すると同時に可視化することで、変異の局在を二次元情報として把握することが可能である。我々はこの手法を用いて、臨床的に応用可能な、リンパ節転移の指標となる現象を検索することを目的として研究を進めている。本年度は、消化器癌リンパ節のみならず乳癌における針生検検体へその応用を広げ、解析を施行した。手術検体は切除から凍結までに時間がかかることや、切除操作に伴う周囲血管の切断により、組織中の代謝産物活性の低下や変化が生じることが知られているが、穿刺吸引法により採取された乳癌針生検検体は30秒以内に液体窒素へ保存することが可能であり、検体の劣化が生じることがないため、メタボローム解析やMALDI-IMSによる解析に非常に適している。我々は乳癌におけるintrinsic subtype別の代謝活性の違いを明らかにすることを目的として、サブタイプごとにまずはCE-MSを用いたメタボローム解析を行い、特にトリプルネガティブ乳癌における非常に特徴的な差異を検出することが可能であった。またこれら特徴が癌部・非癌部等の組織のどの部位に認められるのかを同定するため、MALDI-IMSを用いて2次元平面上で質量分析の画像を作成した。今後はこのMALDI-IMSにおける解析数を増やすことで、本現象がトリプルネガティブ乳癌において普遍的に生じる現象であることを確認していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に消化器癌・乳癌切除検体におけるMALDI-IMSによる解析が実際に進行しており、特徴的な現象が組織特異的に生じるのか、否かということを検体数を増やして確認する作業へ移行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本検討のほとんどは消化器癌・乳癌の手術切除検体を用いて行っているが、臨床検体は一般的に非常に多様性が高いため、ヒト癌細胞株におけるin vitroでのサンプルや、これらを免疫不全マウスへ異種移植を行って形成した腫瘍を用いた解析を行う必要性が、これまでの成果から高まっているため、これらを実際に行っていく予定である。
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