2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロRNAを用いた血管細胞分化増殖制御による新規心血管治療法の開発
Project/Area Number |
22390265
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南方 謙二 京都大学, 医学研究科, 助教 (60539675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40281092)
丸井 晃 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60402856)
田畑 康彦 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (50211371)
山原 研一 国立循環器病センター, 再生医療部, 室長 (50450888)
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Keywords | ミクロRNA / エレクトロポレーション / 血管リモデリング |
Research Abstract |
虚血性疾患に対する外科的バイパス術後の移植血管の劣化や、ステント治療後の再狭窄などは、平滑筋増殖による内膜肥厚などの血管リモデリングが原因となっている。今回われわれが注目したミクロRNAは標的とするmRNAを阻害することにより遺伝子発現を阻害し、一つのmiRNAで類似する複数の遺伝子発現を阻害できる特徴がある。本研究では、ミクロRNA-145が平滑筋増殖抑制に特異的に作用する性質を利用して、血管リモデリングの制御に有効であることを検証した。まず平成22年4月より培養平滑筋細胞におけるアデノウイルス・プラスミドを用いたミクロRNA-145過剰発現による分化誘導を検証し、その後ウサギ血管移植モデル・ステントモデルによる内膜肥厚抑制実験を行う予定であったが、まず分化誘導に用いる予定であったアデノウイルスでは十分な効率が得られなかったため、ゲノムに組み込まれ、その結果、高発現が期待できるレンチウイルスにて再試験を行う方針とした。しかし、今日の遺伝子導入の臨床応用への流れの中で、制御困難と考えられるウイルスベクターを用いる遺伝子導入法は再検討する必要性ありと判断し、遺伝子導入法自体の手法を再考した。その結果、安全性の面からプラスミドを用いたエレクトロポレーション法がより臨床応用へ向けて実用的であると判断し、現在、ウサギ血管移植モデルを作製してエレクトロポレーション法により遺伝子導入を行っている。具体的にはmiRNA-145を導入した群、antisensemiRNA-145を導入した群、コントロール群を作成して、内皮細胞化、血栓形成、内膜/中膜比の検討を行っている。今後、わたなべウサギを用いた高脂血症病態モデルウサギを用いて、より臨床に近い病態での検討も行っていく方針である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
遺伝子導入の高効率化という点で、ウイルスを用いた遺伝子導入法を当初予定していたが、臨床応用という点で、より実用的な観点から、安全性の高い、プラスミドを用いたエレクトロポレーション法へ遺伝子導入法を変更した。本法は、初期費用が必要ではあるが、制御困難なウイルスより安全であるという大きな利点がある。さらにウサギ血管移植モデルの作成に難渋し、手技の再検討を行うなどを要したため遅延が生じている。結果、ウサギ血管移植モデルによるmiRNA-145による移植血管の内膜肥厚抑制実験は現在進行中であり、ステント内側および肺動脈へのmiRNA-145導入のための技術確立は行い得ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ウサギ血管移植モデルによるmiRNA-145による移植血管の内膜肥厚抑制実験に関しては、血管移植バイパスモデルの作成が手技上確立され、現在、遺伝子導入モデルを作成して順次、結果を蓄積している状況である。今後、わたなべウサギを用いた高脂血症病態モデルウサギを用いて、より臨床に近い病態での検討も行っていく方針である。また本試験が終了し次第、ステント内側および肺動脈へのmiRNA-145導入のための技術確立へ向けた試験を行いたい。
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