2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト幹細胞培養システムを基盤とした小児重症心不全に対する新規治療法の構築
Project/Area Number |
22390271
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
饗庭 了 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (70184025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四津 良平 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30129738)
梅澤 明弘 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 部長 (70213486)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 重症心不全 / 細胞治療 / 細胞バンキング / 細胞バリエーション / 人工心臓 / 細胞培養 / 前臨床研究 |
Research Abstract |
本年度は小児重症心不全の人工心臓治療に用いる細胞のバリデーションとそれらのバリデーションされた細胞(胎盤・羊膜由来細胞)を用いた動物実験、胎盤・羊膜由来細胞のバンキングの充実と、大動物(ブタ)の実験系を用いて、細胞移植における細胞漏出と、中心壊死が怒らない効率的な移植・生着の検討を継続した。これらの基盤技術は、細胞のバリデーションとともに欠くことのできない重要なものである。脳死移植法が施行されて以来、成人の重症心不全に対しては心臓移植が行われるようになっているが、小児に関しては海外に頼らなければならない状況が続いている。また、小児用人工心臓も本邦では使用可能とはなっていない。小児を取り巻く環境は、成人における重症心不全の治療として、心臓移植、人工心臓治療、更には再生医療などが臨床において実施されているのとは対照的である。本研究においては、現在の使用可能なリソースを用いて、現状の法体系のもとで、可及的速やかに小児心不全の新しい治療体系を確立する。小児重症心不全に対して、人工心臓治療・細胞治療・細胞バンキングシステムの3領域を研究開発し、有機的に融合・昇華させることで、現状では日本で行えない心臓移植に代わりうる新しい治療体系として期待が大きい。本研究を遂行することで小児に対する人工心臓治療、胎盤もしくは羊膜由来細胞をドナー細胞とする移植治療、これら細胞のバンキングシステムに着手することができ、これらの研究基盤の延長線上にそれらをより強化することにより、治療選択肢の限られた小児心不全に対する強力な治療戦略を創出することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞培養や動物実験は当初の計画どおりに推移している。細胞の安全性バリデーションに関しては、ゲノム安定性、感染症の否定、造腫瘍性の否定、体内動態の検討などの膨大なデータの蓄積が行われており、計画どおりの進展がなされている。細胞治療の有効性に関するProof Of Conceptの取得を行い、バンキングシステムの充実を図ることで、人工心臓治療との複合戦略を見据えた小児重症心不全に対する基盤データを供出することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞培養や動物実験を継続し、データの蓄積に務める。今後は臨床応用を見据えた基盤データの供出が重要な意義をもつ。また、これらのビッグデータのバイオインフォマティクスによる様々な検証も行っていかなければならない。細胞の安全性バリデーションに関して、ゲノム安定性、感染症の否定、造腫瘍性の否定、体内動態の検討などの膨大なデータの蓄積を継続し、信頼性の高い実験データの供出に務める。また、細胞治療の有効性やバンキングシステムの安全性の提示は、社会的な理解を得るためにも欠くことのできない重要事項である。倫理面の配慮を欠くことなく、細胞治療と人工心臓治療との複合戦略を見据えた小児重症心不全に対する基盤データの供出に一層邁進するべく研究を進めていく。
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[Presentation] 先天性胆道閉鎖・生体肝移植後にTCPSを行った内蔵錯位症候群の症例2012
Author(s)
小柳喬幸, 柴田映道, 潟山亮平, 古道一樹, 河野一樹, 下島直樹, 前田潤, 福島裕之,黒田達夫, 饗庭 了, 山岸敬幸. 示説
Organizer
第48回日本小児循環器学会総会学術集会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20120705-20120707
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