2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類に特異的なニューロン新生と脳再生療法の研究開発
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22390273
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山嶋 哲盛 金沢大学, 医学系, 准教授 (60135077)
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Keywords | サル / 海馬 / ニューロン新生 / 骨髄間葉系幹細胞 / GPR40 / ドコサヘキサエン酸 / bFGF / receptor internalization |
Research Abstract |
サルに脳虚血負荷をかけると1~2週後に新生ニューロンが増えるが、これらは毛細血管の外膜に集積していること、および、骨髄と同様の細胞接着因子を発現していることから骨髄に由来するものと推定される。そこで本研究では、脳を育てるドコサヘキサエン酸(DHA)と結合することでシグナル伝達を行うGPR40が、脳と骨髄に発現していることに着目した。すなわち、骨髄からGPR40陽性の間葉系幹細胞(MSC)を分離した上で、DHAを用いて神経細胞に分化させることができれば、脳再生療法に役立つと考えた。採取後、LymphoPrepを加えたサル骨髄液を静置し、上清を捨てた後800xgで30分間遠心する。サンプルと溶液の境界部より単核細胞群を採取しDPBSを加えて250xgで洗浄する。これを1%PSFと15%FBSを含む培養液で再遠心し、ペレットを3日間培養し浮遊細胞を除去するとMSCが得られた。この中からGPR40を微量発現した自家骨髄MSCを分離し、clonalexpansionを行い実験に供した。その結果、元来GPR40を発現する骨髄MSCは、通常の培養液に微量のDHAを添加することで、GPR40の発現増加と同期して神経細胞に分化してゆくことがわかった。 ネスチン陽性の幹細胞は、幼弱ニューロンマーカーであるSSIII-tubulinを発現した後、NF-MおよびMap2陽性の成熟ニューロンへと分化することが、RT-PCRとウエスタンブロットおよび免疫組織で証明された。未処置の骨髄MSCと比べ、bFGF添加群ではGPR40のmRNAと蛋白の発現増加がみられたが、DHAを微量投与するとGPR40の発現は低下し、細胞膜表面から細胞質へと局在が変化した。 しかも、GPR40の発現低下と同期して、上記の神経細胞マーカーの発現増加がみられた。この現象は、GPCRの特徴であるReceptor internahzationと一致した。
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