2011 Fiscal Year Annual Research Report
高純度硬化性ゲルを用いた無細胞移植軟骨再生治療法の開発
Project/Area Number |
22390285
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 倫政 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30322803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 忠直 北海道大学, 大学病院, 講師 (10528334)
三浪 明男 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20133738)
金城 政孝 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (70177971)
笠原 靖彦 北海道大学, 大学病院, 助教 (00581927)
藤崎 和弘 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90435678)
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Keywords | 軟骨再生 / SDF-1 / 無細胞治療 / ウサギ / 骨髄間葉系細胞 |
Research Abstract |
平成23年度内の研究目的は、1)ウサギ膝関節を用いた軟骨組織再生評価、2)生体内軟骨欠損部におけるSDF-1の経時的発現変化の評価、3)SDF-1投与による生体内骨髄間葉系細胞の移植部への遊走集積に関する定量評価である。目的の1)に関してはSDF-1投与(高純度硬化性ゲルに包埋)群では、術後16週の時点で良好な硝子様軟骨組織による修復が獲得されていた。無治療群および高純度硬化性ゲル単独投与群と比較し、肉眼的および組織学的スコアは有意に高かった。力学的評価においても、修復組織の圧縮強度は正常軟骨の81%に達していた。目的の2)に関しては、ウサギ骨軟骨欠損部におけるSDF-1タンパクの経時的発現変化を免疫染色およびウエスタンプロットにて確認した。SDF-1は損傷1週間後に発現上昇を認め、その後、損傷部ではSDF-1の発現は認めなかった。これらの結果から、SDF-1は軟骨損傷の早期に局所発現し、組織修復過程に関与していることが示唆された。したがって、損傷直後に高純度硬化性ゲルを用いてSDF-1を投与することで、軟骨組織の修復が促進されていると考察される。本研究成果より、SDF-1投与により損傷部周囲の骨髄間葉系細胞を集積させることで、軟骨損傷に対する無細胞移植治療の可能性が示唆された。なお、目的の3)に関しては、SDF-1投与により生体内細胞の損傷部への集積の促進は定量評価により証明されたが、集積細胞が骨髄間葉系細胞であるかどうかの証明には至っていない。今年度は、この点を証明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
治療効果メカニズムに関してはまだ不明な点もあるが、SDF-1投与による無細胞移植軟骨再生治療の可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
治療効果メカニズムをさらに解明する。具体的には、軟骨損傷部に集積する細胞の種類を同定する。
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Research Products
(3 results)