2010 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿生殖器における代謝センサーとしての間質細胞の生理病態機能に関する研究
Project/Area Number |
22390304
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10315905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 名誉教授 (80037548)
窪田 泰江 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00381830)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
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Keywords | 間質細胞 / 細胞内カルシウム / ミトコンドリア / 自発活動 / 細胞代謝 / 下部尿路症状 / メタボリック症候群 / 虚血 |
Research Abstract |
間質細胞の代謝センサーとしての役割を、細胞内カルシウム(Ca^<2+>)動態と代謝の関係から検討した。 ウサギ尿道縦走筋から酵素処理により単離した間質細胞では、核周囲にミトコンドリア(MitoTracker Red標識)と小胞体(ERTracker標識)が集積していた。自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇は核周囲のミトコンドリア-小胞体を基点として起こり、細胞末梢部にCa^<2+>波として伝播した。Ca^<2+>波は小胞体のCa^<2+>を枯渇させるCPAおよびリアノジンにより消失し、その後のカフェインによる小胞体刺激は低振幅かつ単発のCa^<2+>遊離のみを引き起こした。一方、ミトコンドリア内膜のプロトン勾配を消失させるCCCPも自発細胞内Ca^<2+>波を消失させたが、その後のカフェインは小胞体からのCa^<2+>遊離オシレーションを生じ、小胞体へのCa^<2+>取り込みはミトコンドリアによるATP産生に依存しないことが示唆された。小胞体へのCa^<2+>取り込みはDeoxy-glucoseによる解糖系阻害によっても抑制されなかったが、α-Iodoacetamideによるクレアチンリン酸代謝阻害により抑制された。従ってミトコンドリアは小胞体へのATP供給を介してではなく、直接Ca^<2+>バッファー機構として間質細胞の自発Ca^<2+>濃度上昇に関与していることが示唆され、このことはミトコンドリアへのCa^<2+>取り込み阻害剤RU360により自発Ca^<2+>波が抑制され、ミトコンドリアからのCa^<2+>遊離を阻害するCGP37157により自発Ca^<2+>波の頻度が低下したことによっても持された。 モルモット前立腺の単離間質細胞は細胞内Ca^<2+>波とCa^<2+>フラッシュの2種類の自発Ca^<2+>上昇を生じたが、いずれも小胞体へのCa^<2+>取り込み阻害および電位依存性L型Ca^<2+>チャネル阻害剤によって消失した。これは間質細胞によるL型Ca^<2+>チャネル非依存性のペースメーカ電位の発生に疑問を呈しする結果であった。 ラット膀胱粘膜下の細静脈では、平滑筋細胞以外に自発Ca^<2+>濃度上昇を発生してネットワークを形成する、新たな間質細胞が存在し、細静脈の自動性に関わることが示唆された。
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Research Products
(9 results)