2011 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿生殖器における代謝センサーとしての間質細胞の生理病態機能に関する研究
Project/Area Number |
22390304
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋谷 光 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10315905)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 泰江 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00381830)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30122047)
三井 烈 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (90434092)
|
Keywords | 間質細胞 / 過活動膀胱 / 細胞内カルシウム / 平滑筋 / ペリサイト / 微小循環 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ラット膀胱粘膜下細静脈においては平滑筋細胞が主要な構成細胞であるが傍血管細胞(ペリサイト)も分布しており、いずれもが自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇を示した。しかしマウス粘膜下細静脈は最近位部を除き平滑筋細胞を欠き、しかしながらペリサイトネットワークは自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇と対応する自発収縮を示した。ペリサイトがアルファ平滑筋アクチン(α-SMA)を発現していることから、ペリサイトから平滑筋への分化の可能性が示唆された。マウス細静脈ペリサイトの自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇はミトコンドリアATP産生に依存する小胞体Ca^<2+>ポンプ、IP3受容体を介するCa^<2+>遊離および小胞体Ca^<2+>容量依存性Ca^<2+>流入のサイクルにより発生していた。この機構はウサギ尿道の間質細胞の自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇が容量依存性Ca^<2+>流入ではなくNa^+/Ca^<2+>交換機構に依存し、またリアノジン受容体Ca^<2+>遊離を介するのとは異なっていた。 モルモット前立腺から単離した間質細胞はミトコンドリアおよび小胞体によるCa^<2+>サイクルにより自発細胞内Ca^<2+>濃度上昇を発生していたが、電位依存性L型Ca^<2+>チャネルを介するCa^<2+>流入にも依存しており、膜電流測定により電位依存性Ca^<2+>電流が計測された。このことは組織標本で記録されるスローウェーブの頻度が脱分極刺激により増加し、過分極により抑制ないし消失する現象に一致していた。 マウス腎盂の自動性(蠕動)に関与するは3種類の細胞の識別を行った。電位依存性L型K^+チャネルK_V4.3およびα-SMA発現細胞は定型的平滑筋細胞、ANO1/TMEM16A(Ca^<2+>活性化Cl^-チャネル)および電位依存性L型K^+チャネルK_V7発現細胞がα-SMA陰性間質細胞、そして自発内向き電流を発生するα-SMA陽性の非定型平滑筋細胞を機能(膜電流)特性および免疫染色により識別することが可能であった。Crim1欠損マウスは腎盂尿管蠕動の異常と水腎症を呈するが、摘出腎盂標本の機能特性には明らかな変化を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膀胱粘膜下細静脈の自動性に関わる平滑筋および傍血管細胞、前立腺の自動性に関わるm間質細胞そして腎盂の自動性に関わる定型および非定型平滑筋細胞、間質細胞の機能特性および識別マーカの検索を行うことが出来た。しかし2型糖尿病マウスおよびラットを用いた検討では、傍血管細胞の増殖を示唆する所見が得られたが粘膜下細静脈に明らかな機能的変化を認めなかったため、さらに週齢を変えて検討を継続する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
高血脂症と心筋梗塞を示すウサギでは過活動膀胱の症状を呈することが報告されているが,本年度より無償提供が開始されたので膀胱の特に尿路上皮下組織リモデリングに焦点を当てて検討を行う予定である。組織ごとに異なる特性を有しながら、多くの本質的な共通点を持つ間質細胞の相互表現型移行、さらには平滑筋細胞や線維芽細胞への分化を考慮して、その契機としての虚血、組織代謝障害について検討を行いたい。
|
Research Products
(17 results)