2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390309
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉川 裕之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40158415)
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Keywords | HPV / ワクチン / 子宮頸癌 / L2 / VLP |
Research Abstract |
1.交差性中和エピトープの特定-モノクロナール抗体による解析- HPV16 L2タンパク質の表面領域のうち、アミノ酸56~75の配列を持つ合成ペプチド(P56/75)で免疫したウサギの抗血清は、複数の高リスク型HPVを中和することが示され、ワクチンへの応用が期待される。P56/75をマウスに免疫して得たモノクローナル抗体(MAb)を解析し、中和エピトープの特定と交差性を明らかにすることを目的とした。HPV16型副キャプシド蛋白質L2の交差性中和エピトープを認識するMAbが2種得られた。MAb 13Bの16、18、31、33、51、58型キャプシドへの結合は確認できたが、35と52型キャプシドへの結合は検出できなかった。MAb24Bは全てのキャプシドとの結合は確認できた。MAb13Bは、16、18、31、33、51、58型偽ウイルス粒子(PsV)を中和したが、35と52型PsVは中和しなかった。MAb24Bは全てのPsVを中和した。抗体総量は同じでも、2つのMAbを1:1で混ぜると中和活性が増強した。16型L2のaa56/75領域には2つの交差性中和エピトープがある。これら2つのエピトープを提示出来る抗原は、幅広い型に有効なHPV感染予防ワクチンとなり得る。 2.中和抗体がCINの転帰に与える影響 軽度の前癌病変である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1を持つ患者217名においてHPV16,18,31,52,58に対する中和抗体を測定し、病変の消失、存続、進展との関係について調べた。PsVをCOS-1細胞に導入し、HPVの感染代用系を用いて、中和抗体を測定した。84名、35名、17名、1名が、1タイプ、2タイプ、3タイプ、4タイプに対する低レベルの抗体価を保有していた。多くは24か月後にも抗体価は不変であった。中和抗体の有無、抗体価は、CIN1の病変推移には無関係であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
L1 VLPの表面に型共通性エピトープであるL2ペプチドを多く発現させたキメラワクチンを作成してきたが、L2ペプチドとしてベストの領域を選択することが必須であり、そのためには交差性中和エピトープを持つ領域を特定できるモノクロナール抗体が役立つことが確認された。L2ペプチドとしてP56/75を用いることが特に有効である根拠を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.L1 VLPとL2ペプチドのキメラワクチンの作製 L1 VLPの表面に型共通性エピトープであるL2ペプチド(P56/75)を多く発現させたキメラワクチンを作製する。 2.性器粘膜面に中和抗体を最も有効に誘導できるワクチンの投与経路の検討 キメラワクチンの投与方法として、皮下接種と経鼻接種を用いて、血清中、膣分泌液中への中和抗体誘導について比較する
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Research Products
(36 results)