2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能的スクリーニング法を用いた子宮体癌関連マイクロRNAの探索と核酸医薬への応用
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22390313
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30167788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪埜 浩司 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70265875)
平沢 晃 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90296658)
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Keywords | micro RNA / 子宮体癌 / 癌抑制遺伝子 / エピゲノム異常 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
microRNA(miRNA)は約22塩基のnon-cordingRNAで、標的mRNAの3'UTRに結合し蛋白質への翻訳を抑制的に制御する機能性低分子RNAである。本研究では東京医科歯科大学難治疾患研究所 稲澤譲治博士らとの共同研究によって、子宮体癌においてDNA過剰メチル化により発現抑制される癌抑制遺伝子型miRNAの単離・同定を目的とした。327種類のmiRNA配列を搭載したmiRNAライブラリーを用いた細胞増殖抑制効果を指標とする機能的スクリーニングによる探索を試み、同スクリーニングから候補miRNAを選出し、さらに子宮体癌細胞株ならびに臨床検体を用いたDNAメチル化解析と発現解析を組み合わせた絞り込みによって、DNA過剰メチル化により発現抑制を受ける癌抑制遺伝子型miRNAであるmiR-152を同定した。同定したmiR-152の標的分子はメチル化に関与する酵素であるDNMT1、転写因子E2F3、癌遺伝子として既知のMETそしてAKTのリン酸化を正に制御する分子であるRICTORを同定した。これら標的分子は癌の増殖に重要な分子であり、また子宮体癌細胞株をマウスに皮下移植し移植部腫瘍重量がmiR-152の投与によって有意に軽減されたことから、miR-152は癌増殖抑制機能を有するmicorRNAであることが判明した。以上の所見より、本成果を利用した新規癌RNA創薬への可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者らが考案したmiRNAの機能的スクリーニングにおいて既知の腫瘍抑制遺伝子型miRNAが多く選出されてきたことから、注目すべきmiRNAの選択に長期間を要しなかったことが理由の一つとして挙げられる。そのため次年度に予定していた標的分子ならびにin vivoにおける癌抑制遺伝子型miRNAの効果の検証を施行した。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-152以外の子宮体癌の新たな癌抑制遺伝子型miRNAを同定し、その抗腫瘍効果および抗がん剤感受性との関連をin vitroおよびin vivoで解析する。脱メチル化剤の添加により、発現が2倍以上に増加したmiRNAをAffinmetrix社のアレイシステムで選択する。次に臨床検体を用いて候補癌抑制型miRNAが正常子宮内膜に比して発現が抑制されていることを確認する。また、子宮体癌培養細胞に対して、候補miRNAを遺伝子導入し増殖曲線の変化、コロニー形成能、FACSによる細胞周期の変化、MTTアッセイなどにより細胞増殖能およびアポトーシス誘導能、抗がん剤感受性の変化などの点で検討する。さらに、in vivoにおける抗腫瘍効果をヌードマウ皮下腫瘍に対するmiRNAの投与により検討する予定。
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Research Products
(5 results)