2011 Fiscal Year Annual Research Report
Lipid raftによるOHC細胞骨格制御機構-聴覚における脂質の機能解明-
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22390315
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
欠畑 誠治 山形大学, 医学部, 教授 (90261619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 伸哉 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00312158)
和田 仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111264)
村越 道生 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70570901)
丸屋 信一郎 国際医療福祉大学, 大学病院, 講師 (90396408)
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Keywords | 内耳 / 外有毛細胞 / Lipid raft / パッチクランプ法 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
細胞内情報伝達の重要な場として注目を集めているLipidraftを介した外有毛細胞(OHC)細胞骨格制御機構(actin remodeling)の情報伝達機構を多角的に解析し、Lipidraftの形成・維持に重要な役割を果たしている脂質の動態が、蝸牛増幅機能・聴覚に及ぼす効果を細胞レベルで解明する。 1.OHC機能に対するmethyl-beta-cyclodextrin (MβCD)投与効果のpatch clamp法による直接的解析 guinea-pigより単離した蝸牛外有毛細胞に1ipidraft阻害剤であるMβCDをマルチバレルにて投与しOHCの機能解析を行ったところ、細胞が短縮し、capacitanceが脱分極方向へ変位した。 2.patch clamp法によるLipid raft細胞内情報伝達機構の解析 低分子量G蛋白のアゴニストであるGTPγSを細胞内液に溶解し100μMとしてパッチピペットのガラス電極を通じてOHC内に投与・作用させた後に細胞外からMβCDを投与した。その結果コントロール群ではnon-linear capacitance (NLC) curveが脱分極方向へ大きくshiftしたが、GTPγSを作用させた群ではMβCDによる効果が抑制された。NLCが最大となる電位(Vpkcm)の脱分極方向への変位量について、コントロール群がMβCD投与から3分後に25.63±13.9mV、10分後に74.95±正3.37mVと大きく変化したのに対し、GTPγSを投与した群では3分後に-8.814±12.78mV、10分後に17.2±20,10mVとMβCDによる変化が抑制された。MβCD投与10分後の細胞長の変化率は、コントロール群では投与前と比較して83.4±4.2環まで細胞長が短縮したのに対し、GTPγSを投与した群では93.5±7.37%と短縮が抑制された。一方、G蛋白のアンタゴニストであるGDPβSを投与するとコレステロールによるMLCとVpkcmの変化が抑制された。 3.OHC膜のコレステロールがLipidraftに作用し、アクチンを中心とする細胞骨格を統御に関わるRhoファミリーを含むG蛋白を介して、蝸牛増幅機能・聴覚に影響を及ぼす可能佐が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OHG機能に対するLipidraftを介した外有毛細胞(OHC)細胞骨格制御機構(actin remodeling)の情報伝達機構が、patchclamp法による直接的解析の結果、G蛋白を介しだ細胞内シグナル伝達系が脂質を介し,て細胞骨格を制御する可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.liidraft細胞内情報伝達機構の解析を引き続き行っていく。 2.コレステロールMβCDを投与した単離OHCのヤング率・stiffhessをAtomic force microscope(AFM)にてこれまでに得られた結果の解析を行う。 3.昨年度中に山形大学に異動となったため、前任地の弘前大でpatch clamp法による実験を続ける形となったが、研究の遂行は順調であった。今年度は山形大学で実験機器のセットアップを行い、実験を継続する。
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Research Products
(1 results)