2011 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来内耳有毛細胞の効率的誘導ー細胞移植による聴覚機能回復にむけてー
Project/Area Number |
22390318
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 正英 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (50230701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王寺 幸輝 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50343421)
和中 明生 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (90210989)
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Keywords | 内耳 / 再生医学 / 有毛細胞 / 幹細胞 / 耳鼻科 / 分化誘導 / 聴覚再生 / 細胞移植 |
Research Abstract |
本研究計画では、内耳難聴疾患のキーとなる内耳有毛細胞に焦点を当て、多分化能を有する胚性幹細胞(ES細胞)より有毛細胞を調製し、それらを用いた細胞移植治療を目的とする。 初年度(平成22年度)は、ES細胞から内耳有毛細胞への効率的な分化誘導をスクリーニングし、ある種のストローマ細胞の培養上清が有毛細胞様細胞への特異的分化を高効率に誘導することを明らかにした。そこで、平成23年度は、ストローマ細胞の培養上清を解析し、分化誘導に有効な液性因子の同定、また、有毛細胞様細胞の詳細な機能解析を行った。まず、培養上清の濃度依存的な分化誘導が認められたことから、ストローマ細胞株由来の液性因子によることを確認し、ストローマ細胞より分泌される骨形成タンパク質BMPファミリーが細胞の分化には重要であると考えた。また、誘導した有毛細胞様細胞は、FM1-43FX色素によりmechanotransductionを有する細胞であることが判明した。さらに、これらES細胞より分化誘導を行った有毛細胞様細胞のトリ胚への移植実験を行い、内耳(蝸牛管および半規管)への生着、および有毛細胞のマーカーの発現を確認した。 平成24年度では、これまでのマウスES細胞での検討と同時に、同法によりサル(カニクイザル)ES細胞での分化誘導も検討する。さらに、難聴モデルマウスへの移植を行い、生着の確認および移植細胞の動態を詳細に調べることで、in vivoにおける移植治療の基礎的解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、期待した実験成果が得られており、学会発表および論文発表での成果報告を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本法を用いることで、難聴治療のための移植材料のソースを創生し、更に移植における問題点(生着率やテラトーマ)にも注意を払い、移植治療の基盤を築く予定である。
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Research Products
(4 results)