2011 Fiscal Year Annual Research Report
加齢黄斑変性発症の四次元時空的解明と分子標的治療の確立
Project/Area Number |
22390322
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大野 京子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (30262174)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 育男 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
望月 學 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10010464)
|
Keywords | 加齢黄斑変性 / 網膜色素上皮 / アミロイドβ / Bruch膜 / neprilysin / 弾性繊維 / beta-secretase |
Research Abstract |
平成23年度はBruch膜にアミロイドβが沈着する機序をin vitro,in vivoで解明した。生後24か月の高齢C57B1マウスから単離した網膜色素上皮細胞(RPE)からmRNAを抽出し、定量的PCRを施行した。高齢マウスのRPEでは若年マウスのRPEに比較して、アミロイドβの分解酵素NeprilysinのmRNA発現が有意に低下し、アミロイドβ切り出し酵素Beta-secretaseの発現が有意に上昇していた。これを支持する所見として、培養上清中のアミロイドβは1-40,1-42とも、高齢マウスのRPE培養上清中で増加していた。Activity assayにおいても、高齢マウスでneprilysinの活性が有意に低下していた。さらに、加齢黄斑変性発症の危険因子として高コレステロール血症に着目し、高齢マウス由来のRPEを高コレステロール下で培養すると、neprilysinのmRNA発現、酵素活性をさらに低下させることを見出した。上記の結果については現在論文を投稿中である。さらに、高コレステロール餌でマウスを1か月飼育したところ、以前の我々の実験で特に所見がみられなかった野生型マウスにおいてRPE下のdepositの蓄積、Bruch膜の肥厚がみられた。アミロイドβに対する抗体を用いて免疫電顕を施行したところ、subRPE depositの内部にアミロイドβ抗体に結合した金コロイドが多数認められ、deposit内にアミロイドβが蓄積していることがわかった。さらに透過型電顕の所見で、上記マウスのBruch膜のintegrityの破たん、gap lengthの増大が認められた。若年マウスのBruch膜では弾性繊維が連続して観察されたが、上記の高コレステロールで飼育した高齢マウスではBruch膜内の弾性繊維は連続性を失っていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitro,in vivoともに順調に進展していると考えている
|
Strategy for Future Research Activity |
加齢黄斑変性の発症に重要な前段階であるBruch膜の弾性繊維のintegrity破綻までは再現することに成功しているため、今年度はEPCなどの注入により、Bruch膜を貫いて網膜に侵入する脈絡膜新生血管を作成できるかに集中して研究を進める予定である。
|