2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯山 隆 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (20302789)
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Keywords | 救急蘇生学 / プレプライミング人工肺 |
Research Abstract |
本研究は、救命救急外来で使用できることはもとよりドクターカーやドクターヘリなど病院外での緊急使用も可能な、バッテリー駆動によるハンディタイプの緊急生命維持装置の実現を最終目標とする。ディスポーザブル部分である人工肺と血液ポンプ、および駆動コンソール装置の開発研究のみならず、圧力損失を低減する薄肉タイプの送脱血カニューレと、特にセッティング時間を短縮するためのプレプライミング技術の確立を目指す。我々の研究グループがこれまで培ってきた人工心臓の技術を応用することで、心肺補助システムを一体化できるとともにシステム全体の小型化を図る。 平成23年度は、ディスポーザブル人工肺ユニットをプレプライミング状態で滅菌するための基礎実験を中心に実施した。シリコーン製中空糸およびポリメチルペンテン製中空糸を使用して試作した小型人工肺を合計12本使用し、滅菌方法として電子線滅菌、熱水シャワーおよび高圧蒸気滅菌の3種類を比較検討した。プレプライミング状態での滅菌において課題とされる溶出物の評価には全有機炭素量計測法(TOC法)を用い、人工肺を構成する各素材からの溶出物総量を計測した。結果は、いずれの中空糸素材および滅菌方法においても許容しうる範囲のほぼ同等の溶出物に抑えることができる見通しを得ることができ、プレプライミングの実現可能性が示唆できた。 今年度の研究より見出された今後解決すべき課題は、プレプライミング状態での滅菌工程において中空糸を透過する水分の処理手段の確立である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度当初計画におけるプレプライミング可能な人工肺ユニットの試作と滅菌実験は計画通り進捗した。ただし、緊急生命維持装置の構成要素のひとつである送脱血カニューレの研究のみは担当する連携研究者の退職により計画変更の必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究の最終年度を迎えるにあたって、システムとしての一体化と完成を目指す。ドクターヘリに搭載することを目的として酸素ボンベ等の必要機材との総合システムを構築する。課題となった送脱血カニューレ部分におい.ては、送脱血カニューレを病院外でも安全確実に挿入するための超音波エコーガイド下カニュレーション手法の確立を盛り込むことでシステムとしての完成度を高めることとする。
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Research Products
(1 results)