2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌の細胞内寄生と病態との関連性における分子メカニズムの解明
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22390342
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大原 直也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 真彰 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10579105)
大原 直子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80301365)
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Keywords | 歯周病原細菌 / Porphyromonas / gingivalis / 感染 / 嫌気性菌 / 細胞内寄生 |
Research Abstract |
歯周病原細菌が宿主歯肉細胞へ感染した場合、宿主細胞が死滅することなくその中で菌が生存する場合や、あるいは宿主細胞がアポトーシスにより侵入した菌とともに死滅する場合が考えられている。細菌の感染によってアポトーシスが誘導される際には複数のシグナル伝達経路が使用されることが知られている。中でも細胞の生存・増殖にかかわるPI3K/Akt経路は、細胞死・アポトーシスの制御において重要な役割を果たしている。歯肉上皮細胞株Ca9-22を用いて代表的な歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisの感染によるPI3K/Akt経路への影響を調べた。予想と反しP.gingivalis感染によりAktは脱リン酸化を示した。また、Akt下流の基質タンパク質GSK3betaのリン酸化活性も減少し、Aktのキナーゼ活性の低下が示唆された。Aktの上流因子PDK1とPTENの活性化状態を調べたが、P.gingivalis感染による変化は認められなかった。このことからAktへ直接作用する抑制因子を介して、P.gingivalis感染によるAktの脱リン酸化が起こされていると考えられた。ところでP.gingivalis菌体成分刺激による歯肉上皮細胞の変化として、P.gingivalis s HbRによってIL-8が産生されることが明らかとなった。そしてこのIL-8産生にはErk1/2、p38MAPKカスケードの活性化が必要であること、またNF-kBが関与することが明らかとなった。これらのシグナルカスケードが本菌の細胞内生存、感染細胞および歯周病態形成に及ぼす影響について今後の検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題においては、高度でかつ効率的にP.gigivalisの遺伝子操作を行なうことが不可欠であるが、その技術の取得のために、予想よりもはるかに長時間を要したため、研究全体の遂行が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に上げた技術の習得については目途が立った。そのため今後は計画に沿って遂行することが見込まれる。
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