2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化とヒストン修飾による骨格原基細胞の分化制御
Project/Area Number |
22390344
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
二藤 彰 鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 達也 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90323708)
|
Keywords | 骨格系細胞 / ヒストン / メチル化 |
Research Abstract |
クロマチン構造は遺伝子発現を調節する重要な要素であり、このクロマチン構造を維持あるいは変化させるのは、DNA配列のCpGメチル化とピストン修飾である。本研究は骨格系細胞におけるそれらのエピジェネティックな変化を解析し、分化とどのように関わるかを解析することを目的としている。今年度は以下を行った 1)骨格系細胞分化におけるヒストンメチル化酵素阻害による効果の検討 マウス胎児由来初代培養骨芽細胞、骨芽細胞様細胞株ST2、胎児由来線維芽細胞株10T1/2それぞれを用いてH3K9meヒストンメチル化酵素阻害BIXあるいはshRNAによるノックダウンを行いそれらの影響を解析した。BIXあるいはshRNAによるノックダウンではosterix,runx2 osteopontinなどの遺伝子は大きな影響を受けなかった。一方で、前年度の結果で見られたline配列群は発現が上昇した。また同部位のH3K9me2の結合もノックダウンにより減少していることをChipで確認した。 2)10T1/2細胞からの分化転換におけるヒストンアセチル化酵素阻害の影響 胎生線線維芽細胞株10T1/2細胞は脱メチル化活性をもつ5aza-cytidineで筋肉、脂肪細胞をまたわずかであるが軟骨細胞も生ずることが知られている。ま分化転換におけるエピジェネティックな変化が分化転換に及ぼす変化を解析する目的で、5aza-cytidineとヒストンアセチル化酵素阻害を用いることによりその影響を調べた。5aza-cytidine単独では筋肉細胞と脂肪細胞を豊富に生じる。一方処理後長期にわたって観察したが、軟骨細胞は全く生じなかった。5aza-cytidineとTSA(Tricostatin A)の共存下では筋肉細胞はほとんど消失し、脂肪細胞と若干の軟骨基質を生じるコロニーを形成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」は1)骨格系細胞分化におけるヒストンメチル化酵素阻害による効果の検討2)10T1/2細胞からの分化転換におけるヒストンアセチル化酵素阻害、ヒストンメチル化酵素阻害の影響の2点であった。その両者とも今年度の実験に着手した。限定的であるが、前者についてはヒストンメチル化酵素阻害による分化への影響が見られた。2)については分化転換におけるヒストンアセチル化酵素阻害が、顕著に見られその詳細なメカニズム解析を行っている。すでにいくつかの予備的結果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
CpGメチル化DNAとピストン修飾が骨格系細胞の分化にどのように影響するかを調べるのが本研究の目的である。双方とも影響を与える可能性という仮説を中心にin vitroの細胞を用いた実験で解析してきた。今後はどちらかに絞ってさらにin vivoの解析を行うことを予定している。具体的にはin vivoでの発現局在の解析とヒストンメチル化酵素の欠損マウスを用いた機能解析である。マウスを用いた実験はマウス作成に着手したが、作成終了までまた維持に時間がかかるため、今年度中に十分な成果が得られるか、時間的制約としても問題点がある。しかしながら、局在の解析と組み合わせることにより、特定の発生段階、組織の絞った機能解析の結果までは得られる、と考えている。
|
Research Products
(5 results)