2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔発癌過程におけるASKファミリー分子によるアポトーシスと炎症の制御機構
Project/Area Number |
22390347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10313230)
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Keywords | 発がん / アポトーシス / 炎症 / MAPキナーゼ / ストレス応答 |
Research Abstract |
野生型マウスにおいては、ASK2はASK1と複合体を形成し、ASK1に依存してその安定化と定常活性が維持されている。そのため、ASK1欠損マウスではASK2の発現も低下しており、通法によって作製したノックアウトマウスでは、ASK1のみが欠損した状態でのASK2単独の機能を解析することは困難である。そこで、ASK1は不活性状態でもASK2を安定化させ、ASK2の活性を維持する機能を持つことに注目し、通常は野生型ASK1と同じく機能するものの、ATP類似薬(1Na-PP1)の投与によって活性が阻害されるASK1変異体のノックインマウスを作製した。この変異体はASKA(ATP analog-sensitive allele)テクノロジーに基づいて設計したもので、ASK1のキナーゼ領域への点変異の導入によりATP結合部位を改変することで、天然型ATPを用いたキナーゼ活性は野生型キナーゼと同等に維持されるが、1Na-PP1によって選択的に活性阻害を受ける(1Na-PP1は野生型のプロテインキナーゼは一切阻害しない)。このノックインマウスが正常に発生、発育し、個体レベルでの異常を認めないことを確認した後、骨髄より培養マクロファージを調製し、過酸化水素によるASK1変異体の活性化と1Na-PP1の効果を検討した。その結果、1Na-PP1非存在下で観察される過酸化水素によるASK1変異体の活性化が、1Na-PP1の前投与によって消失することが確認された。よって、このマウスは、薬剤投与による時期特異的な制御が可能なASK1のみの機能欠損マウスと見なされ、ASK2の機能のみならず、ASK1のより詳細な機能の解析においても重要なモデルマウスとなる。
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Research Products
(14 results)