2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔発癌過程におけるASKファミリー分子によるアポトーシスと炎症の制御機構
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22390347
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 弘資 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (10313230)
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Keywords | 発がん / アポトーシス / 炎症 / MAPキナーゼ / ストレス応答 |
Research Abstract |
DNA障害性の発がん物質である4-Nitroquinolinel-oxide(4-NQO)を含んだ水を長期間飲ませることで食道がんを誘導するモデルを用い、食道発がんにおけるASK2の機能を解析した。その結果、ASK2^<-/->マウスでは、野生型マウスと比較して腫瘍形成が抑制されていた。消費された水の量は各遺伝型で差がなかったことから、ASK2は腫瘍形成の促進に働くと考えられる。また、A5K1^<-/->マウスにおいても腫瘍数が減少していたことから、本実験系においてはASK1とASK2が協調して働くことが示唆された。また、ヒト家族性大腸腺腫症(FAP)は、大腸に多数の腺腫が生じる遺伝性の疾患で、癌抑制遺伝子であるApc遺伝子の変異によることが明らかとなっている。Apc^<Min/+>マウスは、Apc遺伝子にナンセンス変異を持ち、腸管に多数の腺腫を発症する。この腺腫形成へのASKファミリー分子の関与を解析することを目的に、Apc^<Min/+>マウスとASK2^<-/->マウスとの交配実験を行ったところ、十二指腸における腫瘍形成が、Apc^<Min/+>/ASK2^<+/+.マウスよりApc^<Min\+>/ASK2^<-/->マウスおいて減少していることが分かった。よって、少なくとも食道および十二指腸におけるASK2は腫瘍形成の促進に働くことが示唆される。以前の我々の研究で、皮膚腫瘍形成実験ではASK2は逆に腫瘍形成の抑制に働くことが示されていることから、ASK2は、癌発生組織や発癌誘導刺激といった状況に応じて、腫瘍形成の抑制にも促進にも働きうる分子と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した発癌実験モデルのうちの一つが、遺伝子改変マウスの導入が遅れているために着手できていないが、それ以外は計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究において、癌転移モデルを用いた解析系でのASK1の機能が新たに明らかとなったため、当初の計画に転移モデルを導入することで、研究計画のより一層の進展を目指す。
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Research Products
(6 results)