2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規癌抑制性ケモカインBRAK/CXCL14の発現制御と腫瘍抑制の分子機構
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22390353
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
畑 隆一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任教授 (10014276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 靖正 奥羽大学, 歯学部, 教授 (50214408)
倉田 俊一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (60140901)
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Keywords | 腫瘍抑制 / ケモカイン / BRAK / CXCL14 / ドーマントセラピー / 転移抑制 / 血管新生阻害 / NK細胞 |
Research Abstract |
本研究は我々が見いだした腫瘍進展抑制性ケモカインBRAK/CXCL14の腫瘍抑制の分子機構を明らかにして,新しい、副作用のない癌のドーマントセラピー(休眠療法)開発の基礎を確立することを目的とし、BRAK/CXCL14の発現制御と腫瘍抑制の分子機構:多機能分子であるBRAKの腫瘍抑制,転移抑制機構を明らかにする.本年度は以下の3つの項目に重点を絞って研究を行った。 1.BRAKの遺伝子発現制御の分子機構: 細胞密度の上昇により、BRAK遺伝子とともに上皮の分化に関与する遺伝子の発現が上昇し、このシグナル伝達にカルシウム/カルモジュリンシグナルが重要であり、かつ、BRAK遺伝子のSP-1配列が必須であることを示した。 2.我々が作成したBRAK/CXCL14トランスジェニックマウスの移植癌の癌進展抑制機構: 癌進展抑制機構にもNK細胞活性が重要であることを示した。 3.癌の転移の抑制機構を解明: 22年度において癌の転移抑制機構として.実験的癌転移測定法をもちいて、BRAKトランスジェニックマウスにおいてナチュラルキラー(NK)細胞の細胞殺傷作用の亢進が関与することを明らかにしたが、今年度はドキシサイクリン依存性にBRAK発現する黒色腫細胞を作成し、この細胞を野生型、T細胞を欠損したヌードマウス、T細胞とB細胞を欠損したSCIDマウス、遺伝的にNK細胞を欠損するNOGマウスを用いて黒色腫細胞にBRAKを発現させても転移抑制が起こり、かつこの減少にもNK細胞が関与することを証明した。 また、BRAK遺伝子をCHO細胞に導入してヒトBRAKを合成するCHO細胞の作成に成功をした。動物細胞の合成するBRAKを今後の研究に使用することにより、BRAKの分子機能の解析が格段と進むと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初の研究目的であるBRAK遺伝子の発現制御機構について明らかにするとともに、BRAKの腫瘍抑制機構について明らかに出来たばかりでなく、BRAKを大量に合成する動物細胞(CHO細胞)を作ることが出来たことは、今後のBRAKの作用機構の研究に非常に有用な手段が得られたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
動物細胞の合成するBRAKタンパク質を精製し、これを使用してBRAKの分子機能を明らかにし、BRAKを標的とした副作用のない、腫瘍抑制、転移抑制法の開発への道を拓く。
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Research Products
(15 results)