2011 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーに基づいた骨形成促進剤の開発に向けた戦略的研究
Project/Area Number |
22390364
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
矢谷 博文 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80174530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江草 宏 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30379078)
佐伯 万騎男 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (30273692)
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 小分子化合物 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨組織再生 |
Research Abstract |
抜歯、歯周病等に起因する歯槽骨吸収を抑制し、失われてしまった歯槽骨を再生することは、補綴歯科治療の良好な予後のために非常に重要な課題である。本研究の目的は、ケミカルバイオロジーのアプローチによって、多数の生理活性小分子化合物の中から骨代謝を骨形成に強力に促す分子を同定し、補綴歯科治療において切望される歯槽骨形成治療薬として臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することである。前年度は,破骨細胞レポーター株および骨芽細胞レポーター株を用いてケミカルライブラリースクリーニングを行い、破骨細胞分化に対して抑制的に作用し、骨芽細胞分化に対して促進的に作用するいくつかの化合物を検出した。本年度は、得られた骨形成促進因子候補化合物のなかで、スクリーニング結果から骨芽細胞分化を促進する可能性の高いものを3つ選択し、実際に骨芽細胞の分化に作用するか否かを、前駆骨芽細胞株および間葉系間細胞を用いて、アルカリフォスファターゼ活性(ALP染色)、細胞外基質の石灰化(von Kossa染色)、骨芽細胞分化特異的遺伝子発現(リアルタイムRT-PCR法)について評価した。その結果、これらのヒット化合物候補は強力にこれらの細胞の骨芽細脚分化を促進することが明らかとなった。また化合物の細胞毒性についても、WST-1法,死プロテアーゼ蛍光検出法で評価し、これら3つの化合物の細胞毒性が低いことを確認した。今後は、これら化合物について、生体内で骨形成に及ぼす作用を動物実験で評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、ケミカルバイオロジーのアプローチによって、多数の生理活性小分子化合物の中から骨代謝を骨形成に強力に促す分子を同定し、前槽骨形成治療薬として臨床応用へと展開するための研究基盤を確立することを目的にしている。これを達成するために、本年度までに効率的なスクリーニング法を確立し、これから3つの候補化合物を同定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果により同定した3つの化合物候補について、今後は予定通り、試験管内だけではなく、生体内でも骨再生作用を有する可能性を動物実験によって検証していく予定である。評価には,ラット頭蓋骨欠損モデルによる骨形成評価法を用いる予定であり、現在手術方法および骨組織再生を評価する時期について予備実験を進めている。
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