2011 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌診断のための病巣集積型ナノバブルと高周波超音波を用いた画像診断法の開発
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22390378
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 士朗 東北大学, 大学病院, 講師 (80230069)
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Keywords | 口腔癌 / ナノバブル / 超音波 / 転移モデル / リンパ節転移 / 腫瘍血管 / リンパ管 / 画像診断 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔癌の診断のためのナノバブルと高周波超音波を用いたリアルタイム画像診断システムを開発することである。これまで我々は、臨床での画像診断にも転用できる高周波超音波画像解析装置の診断精度を評価するために、ヒトと同等の大きさのリンパ節腫脹を個体間変動が小さく、比較的若い週齢で高頻度に発症し、繁殖・飼育が容易な新しい近交系マウスを樹立し、このマウスを用いたリンパ節転移モデルの病態を詳細に検討してきた。その結果、近赤外線を発するICGやFITC等の蛍光色素を用いて転移ルートの解明を試みたところ、この転移モデルマウスの腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節に至る転移ルートは1本のリンパ管であり、転移の方向は腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節への一方向であることが明らかとなった。さらに、このリンパ節腫脹マウスにルシフェラーゼやGFP遺伝子を恒常的に発現する腫瘍細胞株を接種することにより、in vivoでのリンパ節転移の形成過程を画像として捉えることが可能であることが明らかとなった。しかし、この転移モデルに使用可能なこれまでに樹立したルシフェラーゼおよびGFP遺伝子を恒常的に発現する腫瘍細胞株は1株のみであることから、今後様々なリンパ節転移の病態を解析する上で、様々な細胞由来のルシフェラーゼやGFP遺伝子を恒常的に発現する腫瘍細胞株の樹立が必要である。平成23年度繰越期間においては、新たなルシフェラーゼ発現転移モデル腫瘍細胞株を樹立し、我々が樹立したリンパ節転移モデルマウスでの転移病巣の形成過程を生体発光イメージング法およびナノバブルと高周波超音波を用いた超音波イメージング法にてリアルタイムで解析した。その結果、新たに樹立したルシフェラーゼやGFP遺伝子を恒常的に発現する腫瘍細胞株がリンパ節転移実験に極めて有用であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトと同等の大きさのリンパ節を有する近交系マウスと、このマウスに生着しリンパ節転移病巣を形成するルシフェラーゼ発現腫瘍細胞株を樹立できたことにより、臨床での画像診断にも転用できる高周波超音波画像解析装置の診断精度を評価することが可能な新たなリンパ節転移モデルを開発できた。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔癌の診断のためのナノバブルと高周波超音波を用いたリアルタイム画像診断システムを開発するために、我々が開発したリンパ節転移モデル動物を用いて、本診断システムを臨床応用するために必要な前臨床試験を想定した実験を様々な観点から推進していく予定である。
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