2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22390382
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 悦秀 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (00092445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川尻 秀一 金沢大学, 医学系, 教授 (30291371)
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 浸潤 / 転移 / 酵素 / 接着分子 / 血管新生 / リンパ管新生 / 増殖 |
Research Abstract |
23年度もin vitroとin vivoでの双方の浸潤モデルにおける浸潤増殖像の検討およびin vivoでの浸潤モデルにおける浸潤と転移との関係についてそれぞれ検討した。すなわち、in vitro中で24時間癌細胞を培養し、その培養液中に放出されるMMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-9、MT1MMP、MT3-MMPの各酵素を検索した結果、特にMMP-2、MMP-9、MT1-MMPが高悪性の癌細胞での発現量が上昇していた。これらは、基底膜成分の4型コラーゲンを分解する酵素であった。そこでさらに免疫組織学的に4型コラーゲンとMMP-2、MMP-9、MT1-MMPについて同一切片内にダブルステインを行い、局所において実際に間質の破壊が行われている様子を観察した。その結果ではMMP-2が発現する部分に基底膜の断裂がみられ、MMP-2が基底膜の破壊や浸潤に特に重要であることが示された。また、これらのコラーゲンと接着する分子についても検索を行った。その中では、インテグリンβ1とインテグリンα3が重要であった。また、細胞間接着分子であるE-カドヘリンは癌細胞の悪性度と密接な関係を認め、特に浸潤様式4D型の細胞でE-カドヘリンの発現が消失していた。さらに、腫瘍の浸潤・増殖と血管構築との関係について検討した。すなわち、CD34抗体とD2-40抗体を用いた2重免疫染色を行い浸潤や転移と血管・リンパ管の役割について検索した結果、癌の浸潤や転移と血管密度・リンパ管密度は相関しないことが判明した。しかし、血管密度は癌細胞の増殖には密接に関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
22年度、23年度は基底膜の性状、接着分子、各種の酵素発現、腫瘍血管とリンパ管の性状、線維芽細胞の発現と癌の浸潤・転移について検索した。それぞれ、浸潤や転移との関係を検討し、興味ある結果が示されている。したがって、当初の予定は、おおむね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで口腔扁平上皮癌の浸潤・転移と基底膜の性状、接着分子各種の酵素発現、腫瘍血管とリンパ管の性状、線維芽細胞の発現について、どのような関係にあるか詳細に検討した。今後はこの中で、特に浸潤と関連性が強いと判断された、接着分子や酵素発現を抑制した場合に浸潤がどのように変化するのか検討していきたいと考えている。また、浸潤を抑制することで、転移が抑制できるか否かを検討する方針である。
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Research Products
(3 results)