2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯髄由来組織幹細胞のステムネス性維持とiPS細胞の良質化
Project/Area Number |
22390383
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柴田 敏之 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50226172)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 知子(武田知子) 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (30509815)
加藤 恵三 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (40397336)
牧田 浩樹 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50345790)
畠山 大二郎 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60377653)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生医学 / 発生・分化 / 歯髄 / iPS細胞 / 癌化 |
Research Abstract |
本研究では、我々が保有する豊富なヒト歯髄幹細胞(ヒト歯髄バンク)を用いて、「細胞のステムネス性維持における低酸素の有用性と細胞のステムネス性がiPS細胞誘導効率に関与するか否か」を明らかとし、細胞初期化における基本的な知見を得ることを目指す。また、iPS細胞では、樹立されたiPS細胞の「がん化」の問題が大きな課題となっており、「安全なiPS細胞」の樹立方法を探ることを目的としている。 この成果として; 1. 低酸素培養(3%O2)により、増殖性の向上、初代培養の樹立効率の向上(特に高齢者歯髄からの樹立効率の向上)が観察され、また、低酸素培養によりstro-1(未分化マーカー)陽性の細胞の維持と分化能(dentine matrix 1等の発現維持)が観察された。さらに、低酸素条件にてiPS細胞誘導効率が向上することが示された(投稿中)。 2. OCT3/4, SOX2, KLF4, LIN28, L-MYC, p53shRNAという6つの因子をエピソーマル・プラスミドを遺伝子導入ベクターとして用い、細胞のゲノムに外来遺伝子挿入のないヒトiPS細胞を効率よく樹立できることを見出した。また同時に、上記の樹立方法で、日本人の約20%への移植適合性を示すHLA3座ホモの歯髄細胞2株から、外来遺伝子の挿入のないiPS細胞を樹立し、ドーパミン神経細胞や網膜色素上皮細胞に分化することを確認し、ヒト歯髄幹細胞がiPS細胞バンクの素材として有益であることを示した。 3.保有するヒト歯髄細胞の中からiPS細胞誘導効率の高いラインと低いラインを見い出しその差をDNAアレイ検索した所、EMTに関わる遺伝子発現(上皮系の形質発現に関わる遺伝子の関与)が高い程、誘導効率が良いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
iPS細胞誘導効率に関わる因子の解析は順調に成果を得て来ており、投稿準備中となっている。しかしながら、本研究の目的の一つである「がん化」の解析がなされておらず、この面において最終年度において成果が得られる様に努力を傾注する必要があると考えている。この様な状況より「②おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、達成度で述べた遅れている部分(がん化の解析)に努力を傾注することを考えている。iPS細胞の誘導効率についてはかなり有望な促進因子を見出しており、成果を投稿すべく執筆中であり、本研究課題の終わるまでには成果公表が可能と考えている。このため、現時点において基本的な計画変更の必要はなく、申請計画書に従って粛々と遂行することを予定している。
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