2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔がんにおけるβカテニン遺伝子異常の解析とがん治療への応用
Project/Area Number |
22390388
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
平塚 博義 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50165180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 晃亘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10305237)
荻 和弘 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40433114)
仲盛 健治 札幌医科大学, 医学部, 講師 (60295334)
小林 淳一 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80404739)
曽我部 陽平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (50468104)
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Keywords | 口腔癌 / がん発育先進部 / HIF-1 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌では、細胞接着因子の発現異常がみられ、Eカドヘリンとともにその細胞内裏打ちタンパクである、βカテニンの細胞膜発現減弱が予後因子となっている。このβカテニンの細胞膜発現減弱や核内集積像は、がんの発育先進部と一致する。一方、固形がんの発育先端部は不完全な血管構築による還流不全のために、低酸素領域が存在し、がん細胞の増殖・浸潤能が亢進するとともに化学療法や放射線治療に抵抗性であることが知られている。低酸素環境に係わる転写因子としてHIF-1が知られている。本研究では、口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2,HSC4)を用いて低酸素環境下で異常発現する遺伝子の動態とその生物学的効果を検討した。human HIF-regulated cDNA Plate Arrayを用いて23個のHIF-1標的遺伝子の発現解析を行ったところ、6個(HIF-1α,HIF-2α,PDGF-A,NDRG2,IGF-II)の遺伝子の異常発現が認められた。それらのうちNDRG2はNF-κB/p65による発現制御を受けることが明らかにされていることから、HIF-1αをsiRNAを用いてノックダウンしてウェスタンブロッティングで解析したところ、蛋白質レベルでNF-κB/p65の発現低下が確認された。次に、低酸素環境下でのCDDP感受性についてWST-8アッセイならびにFACS解析を用いた検討を行った。その結果、WST-8アッセイによる生細胞数の解析では両細胞株で低酸素環境による影響が異なることが判明した。FACSによるアポトーシス解析では低酸素環境下においてCDDPによる細胞周期のsub-G1ピークへの顕著な影響はみられなかった。以上の結果から、ヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞株HSC2およびHSC4では、NF-κB/p65がNDGR2を介してCDDP感受性を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)