2010 Fiscal Year Annual Research Report
チューイングによる小児期の母胎ストレス性神経認知回路の賦活と再生
Project/Area Number |
22390395
|
Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
久保 金弥 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (00329492)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯沼 光生 朝日大学, 歯学部, 准教授 (70184364)
市橋 幸子 朝日大学, 歯学部, 助教 (70515634)
小野塚 實 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (90084780)
唐沢 延幸 星城大学, リハビリテーション学部, 名誉教授 (70148287)
|
Keywords | チューイング / 妊娠ストレス / 細胞新生 / 認知機能 / 海馬 / 情動 |
Research Abstract |
妊娠中に被った母胎ストレスにより変化した子供の神経認知機能の生後発達に果たすチューイングの影響を検討するため、拘束ストレス下で木製の棒をチューイングさせた妊娠マウスとチューイングさせなかった妊娠マウスから生まれた仔マウスを用い、神経認知テスト(モリス水迷路学習テスト、ホールボードテスト)を実施した。また、これらのマウスの海馬における細胞新生の状況を免疫組織化学的に検索した。その結果、妊娠中に拘束ストレスを被ったマウスから生まれた仔マウスでは空間認知脳の低下と情動反応の障害が顕著に認められ、これらの仔マウスの海馬では細胞新生数が著しく減少していた。これに対して、妊娠中に拘束ストレスを負荷した母マウスにチューイングさせると、その母から出生した仔マウスでは空間認知能の低下と情動反応の障害が緩和されることがわかった。また、これらの仔マウスでは海馬における細胞新生数がチューイングなしの仔マウスに比較して顕著に増加していた。これらの成果は、妊娠ストレス下の母マウスに木製の棒をチューイングさせると、生まれた仔マウスの母胎ストレス誘発性空間認知機能障害や情動障害、海馬における細胞新生障害が抑制されることを示唆するものである。今年度の研究成果は、妊娠ストレス下のチューイングが、仔マウスの脳発達障害の予防に有用であること示すものであり、小児精神医学の観点から重要な成果と考えられる。今後、組織学的検索を進めることにより、チューイングによる母胎ストレス性小児脳発達障害の抑制機構が明らかになっていくものと期待できる。
|