2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原細菌のIgG抗体価検査の自動化・高速化に関する研究
Project/Area Number |
22390397
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 直也 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70223930)
前田 博史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00274001)
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Keywords | 血液 / IgG / 抗体価検査 / 歯周病原細菌 / Porphyromonas gingivalis / 歯周病 |
Research Abstract |
【目的】歯周病原細菌に対する血中IgG抗体価検査の精度向上のため,全菌体抗原の中から歯周病患者が認識する抗原成分を選抜し,抗体価検査に応用可能な合成タンパク質を構築した。さらに,同タンパク質と患者血清との反応性を検討し,同タンパク質の検査応用を目指した。 【材科および方法】1.抗原タンパク質の精製及び同定:健常者及び歯周病患者プール血清を用いてイムノアフィニティカラムを作製し,抗原調製液(菌体破砕液)を粗精製し,MS解析にてタンパク質を同定した。2.同定タンパク質の合成:Porphyromonas gingivalis FDC381株から同定タンパク質の遺伝子をクローニングし,コムギ無細胞系タンパク質発現システムによりタンパク質を合成した。3.抗原性の評価:各合成タンパク質の健常者と患者血清に対する反応性をドットブロット法にて調べた。4.シグナル値の測定:反応シグナルを数値化した。 【結果および考察】粗精製した抗原タンパク質を比較すると,歯周病患者血清抗体カラムを用いて得たタンパク質の方が,健常者血清抗体カラムを用いて得たものより,種類も量も多かった。そこでMS解析にて,それぞれの粗精製タンパク質を網羅的に同定した結果,ジンジパインや外膜タンパク質,鉄結合タンパク質など31種類の抗原が,歯周病患者血清抗体カラムに特異的にあるいは多量に結合していた。これらから,29種類のタンパク質を合成した。さらに,健常者と患者のプール血清と合成タンパク質との反応性から,患者血清との反応性が強い16種類の合成タンパク質を選出した。認識される合成タンパク質の組み合わせ様式は患者毎に異なっていた。その一方で,ジンジパインのように,すべての患者血清に共通に認識されるものも存在した。今後は,血清の認識様式と臨床所見との関連性を分析することによって,血中IgG抗体価検査に有用な抗原分子を特定する。
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