2011 Fiscal Year Annual Research Report
歯周炎で誘導される動脈硬化の自己免疫疾患様病態の解明と経口免疫寛容による制御
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22390398
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 智子 (栗田 智子) 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (20130594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大口 純人 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (30366611)
小方 瀬昌 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (90204065)
橋爪 智美 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (50419785)
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化 / 自己免疫疾患 / 経口免疫寛容 |
Research Abstract |
1.C57BL/6マウスを用いて長期に渡る高脂肪食飼育下でのP.gingivalis感染の影響を調べた結果、P.g.感染は、高脂肪食で飼育した正常マウスにおいても炎症性サイトカインやCRPの増加を伴う動脈硬化を惹起することが判明した。そこで高脂肪食で飼育したTLR4 KOマウスを用いて、P.g.感染や感染に伴うHSP60の影響を調べたところ、TLR4 KOマウスでは対照群と比較してP.g.感染やHSP60による動脈硬化の憎悪は認められなかった。 2.P.g.感染群においてはIL-17,RoRγt,IL-6,STAT3,IL-23の増加に伴うTh17の増加が認められたが、Treg関連因子(FoxP3発現、IL-10及びTGFβ産生)やTh1(IFNγ産生やT-bet発現)の増加は対照群と比較してほとんど認められなかった。 3.本学部付属病院歯周科来院患者20名を積極的治療群とコントロール群に分け自己抗体、歯周病原菌並びに動脈硬化マーカーの推移を検討したところ、自己抗体(HSP70,oxLDL),歯周病マーカー(LPS)、動脈硬化マーカー(グルコース、IL-6、ICAM-1)の減少が積極的治療群で認められた。 4.歯周病原菌との共培養によりTHP-1株からの著しい活性酸素産生が認められた。一方、LDL存在下においてはP.g.との共培養のみにLDLの酸化が認められ、これらはGingipain阻害剤やGingipain欠損株で完全に抑制された。 以上の結果から、歯周病原細菌感染による動脈硬化の進展にはP.g.感染に伴う自己抗原の増加がTLRを介して起こっており、これらの結果は臨床データにおける自己抗体の増加からも裏付けられた。 更に、P.g.感染によるLDLの酸化機構が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス感染実験や歯周病患者の臨床サンプルにおいて、血液、組織中にHSPやoxLDLのような自己抗原および自己抗体が検出され、またそれらがTh17細胞を介して動脈硬化の発症に関わっている可能性が示唆された。 更に、臨床治験においては歯周治療後に自己抗体や炎症マーカーの消失が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病原菌感染による自己抗体の増加が動物実験並びに臨床サンプルで示唆されたので、今後は歯周病原菌と相同性を有する自己抗原に対するペプチド抗体投与実験を行い、自己免疫疾患様病態の検証を行う。更に、歯周病原菌感染により増加したHSP60を用いて経口免疫寛容実験を行い、歯周病原細菌による動脈硬化の進展が抑制されるか否かを検討する。
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Research Products
(17 results)