2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者の健康格差と医療費・口腔保健・血液データのコホート研究
Project/Area Number |
22390400
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小坂 健 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (60300935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 克則 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20298558)
相田 潤 東北大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80463777)
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Keywords | 健康格差 / 地域高齢者 / 要介護認定 / コホート調査 |
Research Abstract |
高齢化にともなう心身の機能障害は世界的な問題であり、要介護状態になるのを防ぐ要因の究明が望まれる。口腔の健康は、心身の機能障害に関連するという報告があるが、これまで十分に関連要因を考慮した上で要介護状態の発生との関連を調べた研究は無かった。特に、日本で行われた研究では、歯の健康が良い人は経済状態が良く病院に行きやすいといった可能性の考慮がされていなかった。歯の状態と噛み具合と、要介護状態の発生との関連を明らかにすることを目的として追跡調査を行った。4年間追跡できた4,425名のデータを用いて,要介護状態が発生するまでの日数と,歯数と咀嚼能力との関係を検討した。 調査期間中に519名(11.7%)が要介護状態になった。歯が19本以下の人(14.0%)や、咀嚼機能が低い人(21.5%)で要介護状態になる人が多い傾向にあった。 年齢が高い人や全身の健康状態や生活習慣(喫煙・飲酒・運動)や社会経済状態が悪い人に「歯が19本以下の人」や「良く噛めない人」が多いため,これらの違いや性別を統計学的な方法で考慮した場合(つまり全身の健康状態や生活習慣や社会経済状態が同等だとしても),歯が20本以上の人に比べて,19本以下の人で要介護状態発生の危険性が21%増加した(Haza rdratio;1.21、95%信頼区間;1.06-1.40)。しかし,咀嚼機能と要介護の関係は、全身の健康状態などの変数における違いにより説明されてしまい、有意な関係は示されなかった。 この研究の結果,歯を失うことによって,高齢化社会の健康および財政上の問題となっている要介護状態発生の危険性が高まることが明らかになった。歯を失う原因となる歯周病などの炎症や、血管に侵入した口腔内細菌が、脳血管に影響を及ぼして脳卒中を発生させて機能障害を発生させることや、炎症反応が認知機能に影響をすること、栄養状態が悪化することなどがメカニズムとして考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模な住民調査を実施し、その解析を進めることが出来ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
行政の担当者の変更などで協力関係の再構築が必要となるが、現地に頻回に足を運び、研究の行政にとってのメリットなどを積極的に情報共有し、協働できる良好な関係を構築していく。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Oral Health and Cancer, Cardiovascular, and Respiratory Mortality of Japanese2011
Author(s)
Aida J, Kondo K, Yamamoto T, Hirai H, Nakade M, Osaka K, Sheiham A, Tsakos G, Watt RG
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Journal Title
Journal of Dental Research
Volume: 90
Pages: 1129-1135
DOI
Peer Reviewed
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