2013 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア・アンコール遺跡における石材の風化量の定量化とその寿命に関する研究
Project/Area Number |
22401005
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藁谷 哲也 日本大学, 文理学部, 教授 (30201271)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地形学 / 世界遺産 / 岩石風化 / 建築石材 / アンコール遺跡 / 劣化 / 気象観測ステーション |
Research Abstract |
砂岩からなる建築部材の剥離量測定から,主要なアンコール遺跡,35寺院の砂岩ブロックは7-92mm/kaの風化速度を示す。このような砂岩の風化量を,風化環境や石材の物性などから定量化するため,1)風化環境測定の代表地点としたAMOSと,アンコール・ワット内に設置した10基のデータロガーから温・湿度データを回収,分析するとともに,サーモトレーサーによる砂岩表面温度測定を行った。この結果,祠堂部分はその周囲の緑地内気温より1℃高く,表面温度は約10℃以上も高い状態にあることがわかった。そこで,2)高温化による祠堂の水分変化特性を明らかにするため,回廊砂岩柱の散水実験を行った。この結果,日射を受けて高温化する柱の表面が,その背面より乾燥速度は早く,約2ポイント大きい水分変化を生じていた。このため,祠堂を覆う植生のないアンコール・ワットのような寺院では,日射による高温,乾燥化が進行し,降雨による湿潤-乾燥の程度や頻度が大きくなることが推察された。 次に,3)複数の岩種を利用した暴露・埋設試験では,設置後29ヶ月経過した砂岩の埋設試料の重量が暴露試料より約3倍減少していた。また,この埋設試料のCaO量は約64%減少した。一方,4)林内とオープンスペースとで行った石灰岩試料の溶食率は,後者の試料で大きく,最大0.28%/yrの減少率を示した。遺跡の砂岩は,約3%のCaOを含む。このため砂岩ブロックの風化は地下水との反応が生じやすい場所,あるいは直接降水の影響を受ける場所で早いと考えられた。5)現地における暴露試験などと平行して行っている風化加速試験は,物性値やラフネス値の変化をモニタリングしてきた。しかし,これら測定値に大きい変化は認められない。遺跡を構成する砂岩柱のような部材は,実際には積載荷重を受けている。このため砂岩ブロックの風化には,積載荷重を考慮する必要のあることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)