2011 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮史における複都・副都の位置・構造・機能に関する調査研究
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22401031
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (50183067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 芳孝 金沢学院大学, 美術文化学部, 教授 (10410367)
桑野 栄治 久留米大学, 文学部, 准教授 (80243864)
橋本 義則 山口大学, 人文学部, 教授 (60164802)
妹尾 達彦 中央大学, 文学部, 教授 (20163074)
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Keywords | 新羅 / 五小京 / 南原小京 / 金官小京 / 高麗東京 |
Research Abstract |
研究の目的は、朝鮮史の各時代において知られる複都・副都、高句麗の三京、百済の東西両城.五方、新羅の五小京、渤海の五京、高麗の四京について、現地調査をふまえて個別研究(位置と構造)を深化させたうえで、それぞれの時代における制度の実態を追究し、それを中国・日本の制度と比較考察する、ということであり、まずは現地調査を進めることを主眼とした。 今年度は、8月に新羅の五小京のうち、西原小京・中原小京・北原小京を、2月に南原小京金官小京を調査し、すべての小京について現状と研究状況について調査をした。特に中原小京については、国立中原文化財研究所の発掘現場を参観し、果たしてそこで小京候補地としてふさわしいのかどうかについて、研究所長・学芸研究室長・学芸研究士たちと討議した。ほかについても、調査がそれほど進んでいない中、現状を認識することができた。また百済の別都の可能性のある益山・王宮里遺跡も発掘現場を参観しつつ討議をし、高麗時代の副都としての慶州についても調査をすることができた。 また幸いに、関連する学会の招請を受けて「百済の複都・副都制と東アジア」「中原京の諸問題」を発表することができた。 さらに、代表者・研究分担者を中心メンバーとするこれまでの研究が、京都大学学術出版会から刊行された(橋本義則編)。代表者・研究分担者合計11編を収録。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では渤海5京関連の遺跡の踏査を予定していたが、地震の影響により延期せざるを得なくなった。他の科研と合同で、遼・元の上京・中京等を参観することはできたが、渤海については次年度以降に模索する必要が起こった。ただ、全体の中間段階であり、総合的にみれば、計画は順調に進展しているといって差し支えない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も調査をつづけ、具体的なレベルでの比較ができるよう文献・考古両面の情報を蒐集する。北朝鮮についても、次年度の調査を予定しており、高句麗・高麗についての情報を得ることが期待される。それらを総合的に検討するために、まずは個別の水準を高める段階であり、各自で進めつつある。それをふまえ、総合するかたちで、朝鮮史を軸にした東アジアの副都・複都の類似点・相違点などを明確にし、朝鮮の副都・複都の独自性や、他からの影響、他への影響についてゆっくり考察を進めたい。次年度も韓国や中国の研究者を招聘し、研究会を開き、新たな情報を得るとともに、たがいの知識の共有化をはかりたい。
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