2011 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける「地域」ガバナンスとしての共同森林経営に関する地理学的研究
Project/Area Number |
22401037
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
木本 浩一 広島女学院大学, 生活科学部, 教授 (20294605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰己 佳寿子 山口大学, エクステンションセンター, 准教授 (80379924)
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Keywords | 共同森林経営 / ガバナンス / 南アジア / 地誌 / 指定部族 / 国際情報交換 / インド:ネパール |
Research Abstract |
本年度は、以下の通り、各地での現地調査に加えて、全体会合を実施した。 1)現地調査:木本は、昨年度に引き続き、南・西インドでの調査を実施した。南インドでは、アルン・ダス(マイソール大)とともに、バンディープール野生動物保護区において、指定部族の集落を調査した。また、西インドでは、R.B.シン(デリー大)とともに、シャリスカトラ保護区での本調査を実施した。アッサムでは、ラマン(コットン大)が森林調査を実施した。ネパールでは、辰己が、ネパール山岳地域のランタン国立公園において、政府主導の森林管理と集落を基盤とした相互扶助的な活動を基盤とした森林管理の調査を行い、それらの管理形態の比較を行った。また、ナレンドラ(トリブバン大)は、山地地域のダルチョウキ村での調査を通して、NGOや行政が主導的な森林管理から地域主体の森林管理への移行による地元リーダーの変化や住民の参加形態について分析を行った。平野地域の森林管理については、チトワン郡にて関係者への聞き取り調査と資料収集を行った。 2)学会報告:木本は、GHNRM(インドネシア)、IGU(チリ)、日本地理学会(首都大)で、辰己は、西日本社会学会(島根大)で口頭発表を行った。特に、本年度は、11月(FMaRG、マイソール大)と2月(デカン地理学会と共催)、本プロジェクトの会合として二度のシンポジウムを開催した。特に、後者では、インドの研究者らと意見交換を得て、今後の研究の展開に道筋をつけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる目的の一つである、方法的枠組みの検証については、おおよその目処が立った。現地調査において、統計データの処理が遅れがちであるが、一方で広範な範囲で、つまり個別集落の調査を超えて「地域」範囲での現地調査を行うことができており、最終年度に向けて、順調に推移しているものと評価している。当初予定していたグループミーティングについては、ラジャスタン、ネパールにおいて一部実施できているが、十分とは言えない。特に、直接的な利害に関わる問題については当事者の不利益になることも多く、踏み込んだ質問を差し控えざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究組織全体で、一貫したフレームワークに基づいた成果を出すことができるか否かが課題となる。最終年度は追加調査に加えて、英文での成果の出版を予定している。また、それに並行して、日本地理学会でのシンポジウムも予定しており、それらに十分に反映できるようにしたい。
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