2012 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアにおける「地域」ガバナンスとしての共同森林経営に関する地理学的研究
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22401037
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
木本 浩一 広島女学院大学, 生活科学部, 教授 (20294605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辰己 佳寿子 山口大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80379924)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 協働森林経営 / ガバナンス / 南アジア / 地誌 / 国際情報交換 / 指定部族 |
Research Abstract |
本年度は、研究最終年度として、各地で追加の現地調査を行うとともにまとめの口頭発表を行った。その成果・知見は以下のとおりである。 南インドでは、カルナータカ州南部のナガラホレ国立公園周辺部において集落調査を実施した。森林ガバナンスの可能性は、森林近郊に居住する住民が森林管理に参加可能か否かについて伝統の有無やルールの遵守を論点とすることに先立って、森林近郊という地域そのものがどのように形成されてきたのかが重要である。北インドでは、ラジャスタン州サリスカ国立公園周辺において集落調査を実施し、共同森林経営(JFM)の実施が個々の集落の範囲に留まっており、複数集落もしくは国立公園を含む広範な地域において実施されていないこと、その原因が集落の多様性(特に居住歴・理由)によることなどを確認した。デラドゥン地域(ウッタラーカンド州)の調査では、JFMが成功しない理由は、コミュニケーション上の問題や女性の不参加であり、過放牧や政治的介入などの理由を上回っていることを確認した。ネパールでは、シバプリとランタン国立公園周辺の集落で比較調査を実施した。土砂崩れ、違法伐採などが恒常的な課題であり、直接的・短期的見返りのないプログラムの参加率は少なく、森林管理そのものを直接の目的とするのではなく、寺院建設などの具体的プロジェクトによって意識の向上や集落活動の活性化を図ることによって、住民の参画が望めることが確認できた。 本研究では、ガバナンスの「地域」的文脈について、個々の集落を越えて、より広範な「地域」での調査を実施した。個々の集落で実践されている成功例であったもより広範なガバナンスの可能性がなければ持続性にもとる場合が多い。ガバメントからガバナンスへと喧伝されて久しいが、今後の政府(行政)の役割は、「地域」的文脈を踏まえ、個々のガバナンスが可能となる環境づくりにあると言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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