2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22401046
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Section | 海外学術 |
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
塚田 誠之 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (00207333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 旭 (楊 海英) 静岡大学, 人文学部, 教授 (40278651)
長谷川 清 文教大学, 文学部, 教授 (70208479)
吉野 晃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60230786)
松本 ますみ 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (30308564)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 教授 (30179618)
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Keywords | 中国 / 国境 / 民族 / 南北 / 越境 / アイデンティティ / 文化 / 伝統の復興 |
Research Abstract |
本年度は、中国の「国境文化」を生み出した歴史的背景として、国境画定史とそれにともなう諸民族の動向や文化変容、さらに改革開放期以降の民族の社会文化やアイデンティティの動態を主要な検討課題とした。南部の中越国境は1949年の中華人民共和国成立以降に画定されたが、それ以前は人々の越境往来がかなり自由で、中国の壮族がベトナムに土地を所有したり越境して居住する事例が普通に見られたこと、1949年以降も国家による移動を制約する政策の下でも民間では通婚が行われ、民族の習俗にそって嫁が定期的に越境して帰省する現象が見られたことが明らかになった。また、ベトナム西北国境地域の黒タイの歴史認識がどのようなものか、そのことがベトナムにおける歴史構築とどのように関わってきたかが明らかになった。他方、中国北部では、1960-70年代の文革期に中ソ・中蒙友好が対立に一変し、過去に交流を行った者が修正主義者、売国者の烙印を押されるなど政治的な緊張状況に置かれたことが明らかになった。改革開放後、越境活動が盛んに行われるようになった。中国・ミャンマー間で交易ネットワークが形成され地元のタイ族が参与した。また、雲南の回族について、海外イスラーム国家に越境留学したものが帰郷してアラビア語学校の教師となり、沿海部で通訳や通商業務に就くなどの現象が見られる反面、留学せずに中国で宗教指導者になる者も出現するなど活動の多様性が明らかになった。同時に、中国イスラームの伝統である存在-性論哲学を復興させようとしていることをも明らかになった。伝統の復興について、タイのユーミエンについて、祖先祭祀の儀礼、スポーツと文化の祭典、ネットワークの組織化を通じてアイデンティティ維持のため文化復興活動を行っている現状が把握された。これらのほか、1930~1940年代のベトナムの国境地域のタイ族の動向がフランス文書館海外館所蔵の文書を通じて検討された。
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Research Products
(21 results)