2010 Fiscal Year Annual Research Report
西欧の素人裁判官による陪参審制度評価の調査――市民の司法参加の正統性基盤――
Project/Area Number |
22402010
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾崎 一郎 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (00233510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40282587)
池田 公博 神戸大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (70302643)
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Keywords | 陪審 / 裁判員 / 司法制度改革 / ベルギー / 素人裁判官 / 市民参加 / 重罪院 / 確固たる確信 |
Research Abstract |
夏と冬のベルギー訪問調査のための準備として、それぞれにつき2回ずつ国内で研究打ち合わせを行った。すなわち、6月27日に立教大学で、8月3日に九州大学で、10月31日と1月16日に神戸大学(梅田エクステンションルーム)で、調査のための論点の集約、質問項目の整備、理論枠組みの検討などを行った。重要な論点として浮上したのは、一切理由を付すことなく「確固たる確信」のみで有罪・無罪の評決を陪審が行える既存のベルギー方式が、EU人権裁判所による批判を経て、2009年に制度改正がなされたことの意味である。当該改正をめぐって法曹、一般市民(陪審経験者、未経験者)がそれぞれどう評価しているか経験的に把握することを通じて、素人裁判官による司法参加制度の正統性評価について、重要な知見が得られるだろうと予測した。これらの準備を踏まえて、9月に高橋と尾崎が、3月に高橋、池田、尾崎、濱野(連携研究者)が、ベルギーを訪問し、Dimitri Vavoverbeke教授の協力の下、ヒアリング調査を行った。9月にはMons市重罪院で傍聴し、ブリュッセル市重罪院書記官Van der Haegen氏にインタビューした。3月にはMons市重罪院の裁判長Delmarche氏、書記官Paternotte氏、ベルギー高等司法協議会のCottyn議長、Snelders判事、他2名、ブリュッセル控訴院のBoyen院長、ブリュッセル自由大学のBeyens教授にインタビューした。ベルギーの指導的法曹の間では陪審廃止論が有力に唱えられていることが確認できた。本来の目的である陪審員へのインタビューは守秘義務の壁に阻まれて実現できなかったが、ベルギーの検事総長に相当するCottyn氏が来年度の協力を確約してくれた。通常極めて困難なインタビューが来年度実現できる見通しとなった。
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Research Products
(5 results)