• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Annual Research Report

西欧の素人裁判官による陪参審制度評価の調査――市民の司法参加の正統性基盤――

Research Project

Project/Area Number 22402010
Section海外学術
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

尾崎 一郎  北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (00233510)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 高橋 裕  神戸大学, 大学院法学研究科, 教授 (40282587)
池田 公博  神戸大学, 大学院法学研究科, 准教授 (70302643)
Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords陪審 / 裁判員 / 司法制度改革 / ベルギー / 素人裁判官 / 市民参加 / フランス / ドイツ
Research Abstract

秋のドイツ調査と春のフランス・ベルギー調査のための準備として、1回ずつ国内で研究打ち合わせを行った。すなわち、7月7、8日に九州大学で、12月22日に立教大学で、2010,11年度調査に続く調査のための論点の集約、質問項目の整備、理論枠組みの検討などを行った。これまでの調査の結果明らかになった、市民の司法参加の正統性を問うという本研究の問題関心とは正反対の、司法参加がないことの正統性を問うことがむしろ自然な西欧の法文化についての議論が、本研究の意義と限界に深く関わる問題として、活発になされた。また、ベルギーで昨年度実施した陪審員に対するアンケート調査の自由回答についての分析を行った。これらの準備を踏まえた現地での調査としては、10月に尾崎と池田がベルリンを、3月に池田がケルンを、尾崎、濱野(連携研究者)が、パリとブリュッセルを訪問し実態調査を行った。すなわち、10月にはドイツ参審員協会の啓蒙行事に参加し、同協会のPetra Pflanz氏とHasso Lieber会長にインタビューを行った。3月にはケルン、パリ、ブリュッセルの陪参審裁判を傍聴し、さらにケルン大の刑事法研究者へのインタビュー、フランスの参審員協会(参審員経験者が自発的に組織したNGO)のJean Paul Lochu会長とMarie Claudine Jacquemont事務局長へのインタビューを行った。フランス、ドイツ、ベルギーに制度の差を超えて司法の市民参加の正統性の意識が深いレベルで共有されていること、同時に実際の陪審員、参審員は多少なりとも葛藤を抱えて法廷に赴き、一連の審理を経て司法への新たなコミットメント意識を抱くようになること、があらためて確認された。本研究に於いて初めて実際の経験者へのインタビューが可能になった(フランス)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまで重点的に調査してきたベルギーの陪審裁判だけでなく、ドイツとフランスについて、実際の参審裁判に関わっている法律家と参審員経験者に対するインテンシブなインタビューを実現することができ、制度の運用実態についての生々しく貴重な情報を得ることが出来た。とりわけフランスの参審員経験者の団体については日本の研究者による初めての接触である。
理論面の成果として、市民の司法参加の正統性について、正統性の反省化自体を拒むほど深いレベルで定着している正統性意識(基層的正統性)と、市民参加の効用と副作用に関する多様なディスコース(機能主義的正統性)の二層の正統性を軸に考察すべきであるという知見に到達しつつある。

Strategy for Future Research Activity

最終年度は、ベルギー・ドイツ・フランスを対象とした補足調査を行うほかは、過去3年間の調査結果の取り纏めの作業に入る。補足調査としては、やはりドイツとベルギーにおける陪審員・参審員経験者へのインタビューを是非実現したい。今年度季節外れの大雪でキャンセルとなった、Aziz Jellabリール大学教授(社会学)へのインタビューも実現したい。教授はフランス参審員へのインタビューを交えた実証研究で知られる。成果の取り纏めとしては、先に記した様な、二層の正統性意識という理論枠組みを洗練させ、それをもとに、調査結果の分析を進めると共に、日本の裁判員制度の理解についての新しいパースペクティブを提示するようなものにしたい。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (3 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 法と正義―その親和性と懸隔―2013

    • Author(s)
      尾崎一郎
    • Journal Title

      法社会学

      Volume: 78号 Pages: 62―73

  • [Journal Article] 日本における法文化の変容と法のクレオール2012

    • Author(s)
      尾崎一郎
    • Journal Title

      長谷川晃【編著】『法のクレオール序説―異法融合の秩序学―』(北海道大学出版会)

      Volume: ―― Pages: 33―50

  • [Journal Article] トイブナーの社会理論と法律学2012

    • Author(s)
      尾崎一郎
    • Journal Title

      グンター・トイプナー【著】瀬川信久【編】尾崎一郎・毛利康俊【解題】尾崎一郎・綾部六郎・楜沢能生・毛利康俊・藤原正則【翻訳】『システム複合時代の法』(信山社)

      Volume: ―― Pages: 129―153

  • [Presentation] 法と正義―その親和性と懸隔―

    • Author(s)
      尾崎一郎
    • Organizer
      日本法社会学会2012年度学術大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学(京都市)
  • [Presentation] イギリスにおける陪審の正統性 試論

    • Author(s)
      高橋裕
    • Organizer
      日本法社会学会2012年度学術大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学(京都市)
  • [Presentation] 日・独・ベルギーにおける制度・議論の比較および検討

    • Author(s)
      池田公博
    • Organizer
      日本法社会学会2012年度学術大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学(京都市)

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi