2011 Fiscal Year Annual Research Report
歳出入一体化の視角によるアメリカ連邦所得税制の持続可能性に関する研究
Project/Area Number |
22402026
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
河音 琢郎 立命館大学, 経済学部, 教授 (90273870)
|
Keywords | 財政学 / 予算論 / 租税論 / アメリカ経済論 / 税制改革 / 課税ベース / 経済政策 / 財政再建 |
Research Abstract |
H23年度においては、アメリカ連邦所得税制改革に関して、大きくは以下3つの論点に焦点を当てた形で、アメリカ連邦議会、政府、調査機関へのヒアリング調査を含む研究資料の収集と分析にあたった。 第1は、1986年税制改革法以降の連邦所得税の課税ベースの浸食が、連邦財政の個別政策分野ごとの諸課題との関連でどのように進行したのかということである。第2は、上記の課税ベース浸食が、予算過程における歳出入一体化という政治過程においていかに進んだのかという論点である。第3は、こうした課税ベースの浸食に対して、21世紀、とりわけオバマ政権成立以降の政策対応がいかなるものであるのか、ということである。 上記3つの論点のうち、第2、第3の論点については、G.W.ブッシュ政権期に採られた大規模減税立法の影響が、現在までの課税ベースの浸食においても、さらには今後の連邦所得税制改革を構想する上でも、きわめて大きいことが確認された。それゆえ、その詳細についてさらなる分析を行い、その調査研究の成果の一部を、藤木剛康編著『アメリカ政治経済論』(ミネルヴァ書房、2012年)の分担執筆論文、アメリカ経済史学会、立教大学アメリカ研究所での研究報告としてとりまとめ、公表した。 第1の論点については、雇用主提供年金、同医療保険に対する所得控除、さらには住宅取得控除が政策的な中軸を占めること、さらにはこれらの控除の意義が、実体経済面、金融経済面の両側面から検討されるべきことが確認できたものの、その研究成果としてのとりまとめは次年度の課題となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度において、本格的なアメリカでのヒアリング調査に加えて、補足的な調査を行い、海外での実態調査は終了する予定であったが、先方の都合により、補足調査を当該年度中に実施することができなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度が研究課題の終了年度にあたるため、できるだけ早い期間中に、H23年度に実施する予定であったアメリカでの補足調査を実施した上で、研究のとりまとめにあたりたい。
|
Research Products
(3 results)